外食チェーンやコンビニなどでアルバイトが「バイトテロ」「バカッター」といわれる不適切な動画をSNSなどに掲載される問題が続いて起きています。
不適切な動画がアップされて拡散されることで、お客様が減り、売上が下がり、上場企業では株価も下落して、非常に大きな損失を受けることになります。
以前には、個人経営のそば店が閉店に追い込まれたこともありました。
その防止策として、企業は不法行為を行ったアルバイトに対して損害賠償などの法的な手段に訴えるケースも出てきています。
「大戸屋ホールディングス」は、アルバイト従業員による不適切な動画がネット上に掲載されたことを謝罪し、全店(一部SC内店舗などを除く)で1日休業して研修をすると発表しています。
研修では、スマートフォンなどの携帯端末を店舗内に持ち込まないこと
店舗内で業務と関わりのない行為をしないこと
などを改めて確認した上、全従業員に宣誓させるらしいのです。
アルバイト従業員は、悪ふざけのつもりで仲間内に受ければいいと単純に考えていたかもしれません。
ここまで社会問題になって、個人情報までネットでさらされるとは、想像もしていなかったんだと思います。
彼らに想像力がないと言ってしまえば簡単です。
しかし、企業側・店側に全く責任がなかったかといえば、決してそうではありません。
「バイトテロ」や「バカッター」を防止するには、企業・店としてもやるべきことは法的手段以外にもたくさんあります。
1.正社員が店にいること
不適切な動画を見る限りでは、そこに社員はいません。
社員がいれば、悪ふざけの動画は撮影をしていなかったはずです。
企業の収益性を考えれば、アルバイトだけで店をまわした方が儲かるのは確かです。
ただ、「バイトテロ」予防には社員がいない時間を作らないスケジュールや仕組みを作ることが重要になってきます。
2.働く目的、理念の共有
大戸屋の研修では、スマートフォンなどを店に持ち込まない、業務と関わりのない行為をしないなど「~してはいけない」ことを重点的に行うようです。
ただ、これでスマホを持ち込む人がいなくなる訳ではありません。動画を撮影しないまでも悪ふざけを店でやってしまう人もゼロにはなりません。
不適切動画をアップすると、その後にどのような法的責任を追及されるのか、
過去に不適切動画をアップした人がどうなっているのか
それも教育としては必要だと思います。
それ以上に大切なのは「会社・店の理念、働く目的」を理解してもらうことです。
大戸屋のHPにもあるように「グループの全従業員が飲食店で働くことの社会的意義を再認識する」ことに全力で取り組んでいくことが重要だと考えています。
残念ながら、アルバイトの中には、働くことに対する意識やモラルの低い人がいることは確かです。
アルバイトの面接や入店時に、働くこととはどうゆうことなのかを教える必要があります。
さらに、会社や店の理念、この会社が存在する目的、その中で働く人の重要性などをアルバイトと言えどもしっかりと伝えて行かなければなりません。
時間は掛かるかも知れませんが、長期的に考えれば「働く意義、理念の共有」は最も重要なことです。
3.継続する仕組み
研修を行ったとしても、1日だけで終わってしまっては、すぐに研修の内容は忘れてしまいます。
忘れないためには、何度もことあるごとに繰り返し伝え続けることが必要です。
朝礼でも、ミーティングでも、指示だしのときでも、チャンスはいくらでもあります。店長が話すことも重要です。
それ以上に、アルバイト自身が理念や働く目的を言い続け、常に意識をさせるような仕組み作りが欠かせません。
4.店の運営に参加させる
単純に指示されたことだけを、黙々としているだけでは、やりがいもなければ、仕事に達成感もありません。
店に愛着をもって仕事をするには、アルバイトや非正規社員にも、店の運営に意見を言う機会をつくります。
店長や社員の場の雰囲気作りも大いに関係しますが、ミーティングの席では、アルバイト歴の浅いアルバイトからも、活発な意見が出てくることもあります。
店内のメニューの改善案が出されて、メニューの見せ方を変えたことで売上が伸びた例もありました。
自分の意見が採用されて、結果が出れば、やる気は出てきます。
こうなるとバイトテロをするより、店をよくすることを考えた方が楽しくなるのです。
5.人間関係をよくする
嫌いな店長や上司がいると、反抗的になることもあります。
影で悪口をいうことは、世の常です。
いまは嫌がらせをしようと思えば、悪口に留まらず、不適切動画をあげてしまおうと考えても不思議ではありません。
しかし、店長や上司との関係性がよければ、不適切な行為はできなくなります。
人間関係をよくするためには、アルバイトに過剰な期待をしないこと。
よいところ、優れたところをちゃんと認めてあげること。
それが出来ていれば、人間関係はよくなります。
バイトテロを防ぐのは、よい会社・よい店・よい組織・よい企業文化にすることと同じなのです。