「売上至上主義」から「感謝」へ。
経営理念の再構築が、
赤字の会社を黒字に変えた。
その会社は、住宅建築を手がける中小企業でした。創業以来、一度も赤字を出したことがない。それが社長の誇りであり、会社の文化でもありました。
社長はいつもこう言っていました。「会社の目的は利益を上げることだ」「売上ノルマを果たすのが社員の責任だ」「ノルマが達成できないなら、辞表を持ってこい」。売上至上主義、イケイケの組織でした。業績が良いうちは、給与も良く、それが一種の求心力にもなっていました。
ところが、ある年——会社が赤字に転落したのです。
赤字になれば、昇給もなければボーナスも出せません。厳しいことを言われ続け、さらに給与が下がれば——社員は去っていきます。
1人減り、2人減り、どんどん社員が辞めていきました。社長はこのとき、倒産まで覚悟したといいます。
「赤字の会社になっても、辞めずに残っていてくれる社員がいた。売上・利益を上げてくれたのは社員であり、感謝すべきは社員ではなかったのか」
それはハンマーで頭を殴られるような気づきでした。ずっと「利益のために社員がいる」と思っていた。しかし本当は——社員に、お客様に、取引先に支えられて、会社は成り立っていた。
この気づきが、社長の価値観を180度変えました。
社長は企業理念を作り直しました。売上・利益から「感謝」へ。今までとは正反対の方向へ、舵を切ったのです。
「雇用を守り、社員に成長の機会を与え、幸せにする」
「お客様の笑顔が溢れる住宅造りを通じて、地域社会に貢献する」
そして社長は、全体会議でこの理念を社員の前で宣言しました。今までのことを社員に詫び、「雇用は守る。みんなが仕事を通じて成長して、幸せになる会社にしよう。お客様が笑顔になれる住宅造りをしよう」と。
全体会議の前に、社長は経営幹部と合宿を行いました。社長の価値観と幹部の価値観を揃え、「顧客が笑顔で日々を過ごせる住宅を提供しよう」という理念を実現するための経営戦略を共に考えたのです。
変革の後、社員の行動は変わりました。利益を追うのではなく、お客様の声によく耳を傾け、お客様の希望を実現するための家づくりを提案するようになったのです。
以前よりも見積もり価格は高くなりました。しかし——顧客満足度が高まったことで、ライバル会社より価格が高くても充分に選ばれるようになりました。
安いから売れるのではない。お客様の満足度が高ければ、価格がライバル会社より高くても充分に売れていく。
1年目で赤字がなくなり、2年目からは黒字になりました。
経営理念は「飾り」ではなく、組織を動かす「エンジン」である
業績の悪化は、多くの場合「戦略の失敗」より前に「理念の空洞化」として現れます。この事例が示すのは、社長自身の価値観の転換→理念の再構築→幹部との対話→全社への浸透、というプロセスを踏むことで、組織の行動と業績が根本から変わるということです。コーチングで経営者の本音を引き出し、理念・戦略・計画を共に作ることが、こうした変革を可能にします。
あなたの会社の「理念」は、
社員に届いていますか?
経営理念の策定・再構築から、組織への浸透まで。
コーチングを通じて経営者の本音を引き出し、
会社が本当に向かうべき方向を一緒に作ります。

