社長の意思決定力

「創業社長は決断が速いんです」とあるシステムを販売する会社の社長が話してくれました。

自分の会社で何が必要で、予算はいくらまでなら採算がとれるのかを商談前にわかっているからでしょう。

反対に、なかなか決められない社長もいらっしゃると聞きました。

「どれだけ情報をお伝えしても『もしもこうだったら・・・』『予算的に・・・』など様々な理由を上げてなかなか決断をされません。

当社のシステムが必要ではないのかといえば、そうでもないようです。

もし成功しなかったらどうしようかと、そんな不安が影響しているのでしょう」

とシステム会社の社長はオブラートに包むようにおっしゃっていました。

この傾向は、サラリーマン社長と2代目・3代目の社長に多いようです。

意思決定の重要性

創業社長は「自分が立ち上げた会社だし、もしダメになったらまた一からやればいいや」という開き直りができています。

そのためか、経営の決断力と意思決定力が速いのです。
また、これまでの経験に裏付けられた自信もあるのでしょう。

一方、2代目・3代目は「後を継いだ以上、潰してはいけない」という意識が強い傾向にある社長もいるように思います。

もちろん、2代目・3代目の社長でも決断の速い方、経営力に優れている方は、私のご支援先にもたくさんいらっしゃいますので、あくまでも一つの傾向です。

経営ですから、すべての意思決定が上手くいくわけではありません。
上手くいくことがあれば、上手くいかないこともあります。

経営の意思決定は常にリスクと向かい合わせです。

それでも経営者は外部環境の変化に応じた様々な意思決定をしていかなければなりません。

もし、意思決定が遅くなれば、チャンスを逃してしまうおそれも、会社存続の危機に陥ることだってあり得ます。

後継者を育てる

意思決定ができないのは、ご本人が保守的な性格であることもあるでしょうが、意思決定をした経験がないことも大きく影響をしているのです。

これには先代社長の責任も少なからずあります。

後継者となる方に、意思決定をさせていないからです。

先代は自分が築き上げてきた会社ですから、まだまだ後継者には任せられないと考えて、すべて先代が決めてしまうことがあります。

すると、後継者はいつまでたっても意思決定をしないまま、その結果の責任をとることもないのです。
だから、重要な意思決定に対して慎重にならざるを得なくなってしまいます。

後継者を育てるためには、意思決定をさせることです。
たとえ上手くいかなくてもいいのです。失敗をしていい範囲で意思決定をさせてみましょう。

1つの部門でも結構ですので、その部門の意思決定を任せてみます。

上手くいかなくても会社の屋台骨を揺るがすことがないような部門の責任者としてすべての決定をさせます。

社長の重要な仕事

意思決定をして失敗したときの葛藤、上手くいったときの喜び、それぞれの原因と結果を分析することが、後継者にとっては大きな財産になります。

社長の重要な仕事は

1.経営理念とビジョンの設定

2.経営戦略の決定

3.経営戦略を実行するための組織運営

この3つです。

まとめ

会社の発展のためには、経営理念、ビジョン、経営戦略の決定は非常に重要です。

そして、これこそが最も大切な社長の意思決定にほかなりません。

後継者を育てるには、意思決定をさせてこそ優秀な経営者として育っていくのです。