パワハラ防止法は、2019年5月に成立し、2020年6月1日から大企業に施行されました。
中小企業にも2022年4月1日から義務化されています。

ハラスメント対策は法律問題に対処するだけでなく、チームワークやコミュニケーションの改善、定着率向上、業績アップなどにも大きな効果をもたらします。

ここでは、ハラスメントによる企業のデメリット、パワハラが起きてしまう原因、パワハラを防止することのメリットについて考えて行きます。

パワハラを放置するデメリット

1.労働環境の悪化

パワハラが放置されると、職場の雰囲気が悪化し、従業員が萎縮してしまい、社内のコミュニケーションが悪化します。

職場が暗い雰囲気になって、社員同士の信頼関係が希薄になってしまい、働く意欲が低下し、売上や生産性も低くなってしまいます。

2.離職率の上昇

ハラスメントから逃れるためには、会社を退職してしまえばいいと考える従業員も少なくありません。

優秀な社員ほど、退職する傾向が高くなります。その結果、業績は悪化し、離職率は上昇、採用コストや人材育成の負担も増加します。

3.メンタルへの影響

パワハラは心理的なストレスや不安を引き起こします。
その結果、従業員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性があります。

パワハラが長期間続くと、うつ病を発症する可能性すらあります。それがひどくなるとPTSD(心的外傷後ストレス障害)さえ引き起こしてしまいます。

4.法的リスク

パワハラは訴訟を起こされる可能性があります。実際に従業員が会社を訴える事態は増えています。

訴訟を抱えると訴えられた企業の社長や管理職にも精神的な負担がかかってしまいます。
さらに、裁判所の判決では罰金を科せられることもあり、裁判ではなく和解が調ったとしても慰謝料を支払わなければなりません。

パワハラが起こる要因

1.権力の乱用

権限を与えられたのは、業務目標を達成するために必要だからです。
決して、部下を抑圧したり支配したりする権限を与えられたわけではありません。

権限があって相手より立場が上であることを示すために、部下を侮辱したり、威圧することで自身の権力を示そうとします。
また、権限を利用して相手を不利な立場に追い込むことで権力を持っていることを誇示しようとします。

2.自己肯定感の低さ

自己肯定感が低い人は、自分の価値や能力に対して肯定的に考えない傾向にあります。
また、他人の意見や評価に敏感で、批判や否定的な意見を受けることを嫌います。

その反動で、自分よりも相手を貶めることで自分を上位に置こうとします。その結果、威圧的なことを言ったり、相手の意見を否定する行動に出てしまうのです。

3.過去の経験

過去に虐待を受けたり、パワハラ的な教育を受けてきた人は、パワハラを行ってしまう可能性が高くなります。

侮辱や威圧、怒りをもちいて教育、指導された場合、パワハラ的な行動をすれば、相手は言うことを聞くと刷り込まれてしまっています。そのため、パワハラ以外で人を指導する方法を知らないのです。

4.企業文化の影響

昭和の時代には、出来ていない点や欠点を直せば人も業績も伸びると考えて、叱責することが当たり前でした。

このような企業文化が残っていれば、パワハラの言動を許したり、上司が率先してパワハラを行っている場合があります。

5.コミュニケーションの不足

適切なコミュニケーション・スキルを持たないと、自分の言いたいことが上手く相手に伝えられません。

そのため、上手く伝わらないことにいらいらして、感情や不満を攻撃的な言動で表現してしまうことも少なくありません。

6.その他

パワハラをしてしまう要因は、他にも様々あります。

しかし、パワハラをする人も相手を威圧、侮辱、怒りを発することで、自分自身が不快になることもあります。
寝るまでその感情を引きずってしまうこともあり、パワハラはする方もされる方にも害悪を引き起こします。

パワハラ対策とそのメリット

1.ハラスメント研修と意識向上

ハラスメント研修では、ハラスメントの定義や種類を明確にして、事例や対処方法などを学びます。

研修を受けることで、パワーハラスメントが組織内で許容されないことを明確に伝えます。

社員はハラスメントに対する理解を深めるだけでなく、ハラスメントを防ぐための具体的な行動指針を不適切な行為の例を含めて作成し、全従業員に周知徹底させていきます。
また、定期的な研修も必要です。

2.コミュニケーション研修

パワハラが起きるのは、コミュニケーションが大きく拘わってきます。

威圧的言動、侮辱、怒り、否定などのパワハラをしてしまうのは、自分の欠点や足りないところを補おうとして、相手をおとしめるコミュニケーションをしているからです。

相手の欠点や足りないところを指摘するのではなく、相手の良いところ、強み、上手くいっているところを見つけて評価することの方が、人はやる気になりますし、人間として尊敬されるようになります。

こうなれば、パワハラなどする必要がありません。

そのためには、思考と言葉を変えるコミュニケーション・ワークショップを開催して、経営幹部をはじめ全従業員のコミュニケーション力を伸ばしていきます。

コミュニケーションが改善されれば、組織全体のパフォーマンスが向上し、業績も伸びていきます。
さらに、定着率が向上していきます。

ハラスメント対策も含めて、コミュニケーション・スキル向上のためのワークショップを定期的に実施し、社員のコミュニケーション能力を向上させることが企業を活性化させます。

ワークショップ

3. 匿名の相談窓口の設置

パワーハラスメントは報告しにくいものです。
報告をしたことで報復人事をうけるなど報告者が不利益を被らないようにするための措置を講じる必要があります。

人のプライバシーと安全を保護するために、匿名の相談窓口を設けるなど、被害者が安心して相談できる環境を整えます。

4.外部の支援を活用

パワーハラスメントの相談や調査を社内で行うのには障害が出たり、軋轢を生んでしまう可能性がある場合は、独立した第三者機関に委託することも有効です。

まとめ

ハラスメント対策は企業に様々な効果をもたらします。

コミュニケーション改善、離職率低下、業績向上といった具体的な効果だけでなく、社員の意識改革にも重要な役割を果たします。

中小企業経営者は、ハラスメント対策を積極的に推進し、良好な職場環境を築くための取り組みを行うことが求められます。

その結果、心理的に安全な会社になり、従業員がイキイキと働き、会社の成長と発展につながります。