協力して仕事をし、業績を伸ばすベースとなるのは、コミュニケーションです。
仕事の基本である大切なコミュニケーションは、学校では習いませんでした。
社会に出ると、話し方はトレーニングをする機会があります。
しかし、聞き方をトレーニングすることはありません。
聞き手が、話をちゃんと聞け正しいコミュニケーションがとれるになるためには、話を聞けない理由に気付くことが必要です。
そして、話をしっかり聞ける方法を紹介します。
コミュニケーションの主導権は受け手に
ピッチャーが素晴らしいフォークボールを投げたとしても、キャッチャーが受けられなければ結果はパスボールです。
ランナーがいれば進塁を許すことになり、大きなミスにつながります。
同じように、話し手がどんなに素晴らしいことを話したとしても、聞き手が意味を理解しなければ、コミュニケーションは成立しません。
逆に、話し手がうまく伝えられなくても、聞き手が話し手の主旨を理解できれば、コミニュケーションは成立します。
このように、コミュニケーションの主導権は受け手にあります。
会社のコミュニケーションでも受け手の取り方によって大変なことが起きています。
「企画書は明日の木曜日に提出の予定だが、進んでいるか?」と部長が確認をすると、
「え?!来週の木曜日ではなかったですか?今週ですか?」と部下は青ざめていました。
どれだけ正確に部長が必要な情報を正確に発信していたとしても、聞き手が正確に受け取らなければコミュニケーションは成立しません。
聞き手が理解できないのは、上司から部下への指示・確認だけでなく、部下から上司への報告や相談の場面でもよくあることです。
話が入ってこない4つの理由
ではなぜ、聞き手は話し手の声が耳に届いていたのにもかかわらず、話の内容を理解できなかったのでしょうか?
その理由は大きく分けて4つあります。
その1.関心がなかった
こんな経験はありませんか?
ベンツを買おうと考えているときに、ふと道路を眺めていると走りすぎるベンツは注意深く、色や形式などもしっかりチェックしています。
そのため「今日は、やたらベンツが多く走ってるなあ」と感じるのです。
しかし、実際はそんなことはなく、ベンツ以外の車種は見ているようで見ていないため記憶に残っていないからです。
これと同じことが、聞く事についてもあるのです。
この人の話は意味がないなあ、この会議はつまらないぞと、内心で思ってしまえば、声は耳に入ってきていても、話の内容を覚えていません。
人間誰しも興味のあることは注意をして見聞きしますが、関心のないことに対しては頭に入っていきません。
その2.別のことを考えていた
今朝出がけに妻とケンカをしてしまった。
そのため、それが気になって、どうやって仲直りをしようかと考えていれば、そのことで頭の中は一杯になっています。
昼前になると、今日は何を食べようかなど、話とは全く別のことを考えていると、耳栓をしていることと変わりがなくなります。
これらは自問自答であり、自分自身と対話をすることから内部対話と読んでいます。
ある説によれば、人は1日約3万回も内部対話をしているのだとか。
気になることがあれば、意識はそこに集中してしまうので、話が頭に入ってこないのです。
人間の脳は同時に2つのことを処理できません。
内部対話をしていれば、他人の話を理解することはできないのです。
その3.思い込みで判断する
これは話し手と同じで、「話し手も知っているだろう、知っているはずだ」という思い込みを持って聞くためです。
「話が伝わらない3つの理由」では書かなかったのですが、単語1つとっても人によって違う発想をします。
「すこし時間を下さい」と聞いたときに、「すこし」とは、どれくらいの時間を想像するでしょか?
ある人は5分でしょうし、またある人は15分と思うでしょう。状況によっては数時間と考えることもあります。
これを相手もきっとそう思っているだろうと、思いこんで話を聞いてしまえば、意志の疎通は図れません。
思い込みは、今まで生きてきた教育や経験によって作られるので、人それぞれ違います。
人は違うんだということを理解していないと、コミュニケーションはよくなりません。
その4.言葉の意味が異なる
「3.思い込み」とも重なる部分はありますが、あえて分けたのには理由があります。
「在庫を整理をしてくれ」と指示されたときに、何をしますか?
乱れた在庫を整える場合も人もいるでしょう、品番ごとのまとめてきれいに並べる人も、不良在庫を別にする人などもいます。
同じ言葉でも、人によって行動は違ってきます。
その理由は、言葉の意味が共通化されていないからです。
研修では「山といったら何を頭に思い浮かべますか?」と聞くこともあります。
すると、多くの場合は富士山と答えます。
しかし、富士山で静岡側からみる富士をイメージする人もいます。山梨側からの人もいます。
赤富士をイメージする人、ダイヤモンド富士をイメージする人など、様々です。
コミュニケーションをよくするためには、言葉の意味を社内で共通化しておくことも欠かせません。
よい聞き手は、よい話し手
話し方の勉強やトレーニングをする機会はありますが、聞き方のトレーニングをすることはあまりありません。
言葉の意味を突き詰めて考える機会も少ないのが現状です。
こんなときには、まずコミュニケーションの基本である。傾聴のトレーニングをすることです。
傾聴することができれば、話す手も話しやすくなって、コミュニケーションの質はグーンとアップします。
言葉の意味も理解することが出来ます。
傾聴の本質を体験すれば、よい聞き手になれ、よい話し手にもなれるのです。
心理的安全性の高いチームを作るプレイズ・ワークショップでのベースは、傾聴です。