問題点を見つけ出すために、トヨタなどが行っている「なぜ?」を繰り返す5WHYは効果があります。
5WHYに効果があるために、人に対しても「なぜ?」を繰り返して原因を追及しようとします。
果たして、人に対して5WHYは効果があるのでしょうか?

原因追及型思考とは

日本人の特性として、欠点や問題点に目が行きがちです。
子どもの頃「なんで、しないの?」と言われたことは多くの方が経験されていると思います。

たしかに、製品の不具合や問題点は、「なぜ」を繰り返すことで問題点を克服して、製品のレベルを上げてきました。

製品や機械、システムなどは問題があった場合、原因を追及する「原因追及型思考」が、良い結果を生み出しました。

しかし、人や組織に「なぜ」を繰り返して「なぜできなかったんだ?」「どうしてなんだ?」「それで?」などと原因の追及をすると上手くはいきません。

人に対して原因追及をすると、自分が攻められているように感じ、自己防衛や言い訳に終始してしまいます。
そして、原因はわからないままになってしまうのです。

さらに悪いことが起きます。
人に「なぜ?」を繰り返す「原因追求型思考」で問い詰めてしまうと、追求した側とされた側には軋轢が生じ、人間関係は悪くなってしまうのです。

問題思考

できていないことや問題点を追求すると、社員は過去の失敗に目を向け、ネガティブな気持ちに陥り、仕事へのやる気も失せてしまいます。
結局、全く問題を解決することはできません。

未来解決型思考【心理的安全性を担保する】

社員が元気で前向きに仕事ができるような会社にするためには、思考を変えることが必要です。

「もしもこの問題が解決したらどうだろう?」
「解決するためには何をしたらよいだろう?」
と、解決方法を考える「未来解決型思考」が大いに役立ちます。

すると、思考は過去の問題点の原因追及には向かいません。
どうしたら解決できるかと思考が未来に向かいます。

問題を解決できたときのイメージが持てるので、ポジティブな気持ちになり、建設的な意見が出てきます。仕事に対しても前向きになれます。

そして、何より重要なのは、問題解決に向けて自分で考えるので、具体的行動ができるようになることです。

未来志向解決思考

たとえば、上司が部下の資料を確認したときに、
「これじゃあダメだな、やり直しだな。だからちゃんと調べておけって言っただろう」
と言われたら部下はどんな思考・気持ちになるでしょうか?

資料を作った労力を全否定されたように感じるはずです。
これでは、資料作りに力が入りません。また、上司との関係性もよくはなりません。

「資料ありがとう。この資料に付け加えることはないか?こうしたらもっと良くなる点はないか?」
こう質問されれば、資料を作成した努力は認めてもらったことになります。

自分のことを認めてもらえれば、上司との信頼関係も向上します。
そして、部下の思考は資料をさらに良くするための行動をとるようになります。

前者は「原因追求型思考」です。後者が「未来解決型思考」です。
どちらの方が部下がやる気になるか、部下の能力がのびていくのかは、明らかです。

思考と言葉を換えれば、心理的安心な職場はできる

学校や資格試験では満点があります。
そのため、学校に通っていた期間は、間違った所やわからなかったことを伸ばそうとしていました。でも、それは決して楽しいものではありません。

人や組織に対しては、出来ない所や足りないところを指摘して補うよりもいい方法があります。

それは、いま持っている人と組織の能力や強み、経験から上手くいっているところを見つけて、伸ばしていくことです。
その方が、人も組織もはるかによくなっていきます。当然、業績も伸びていきます。

人間の能力には満点はありません。
出来ない点を伸ばそうとするよりも、出来ているところ、努力できているところを伸ばしていった方がはるかに能力は向上していきます。

人と組織のよいところ、できているところに注目すれば、否定的に他者をみることはありません。
否定されない、無視されない、頭ごなしに叱られない、心理的安全性の高い職場になります。

互いによいところを認めあえば、信頼関係ができます。
また、会社に自分の意見が聞いてもらえた、採用されたとなれば、会社に貢献している実感が持て、自己有用感がアップします。

たったこれだけのことかもしれませんが、発想・思考を変え、言葉を変えれば、会社や組織は確実に変わっていきます。

本気で思考を変えるのならば、言葉で理解するだけではなく、未来解決思考を体験することが必要です。
もっとも思考を変えていく必要があるのが、影響力の大きい社長をはじめ経営幹部です。

会社や組織はなかなか変えられないとお考えではありませんか?
大上段に振りかぶって、組織を変えるぞとがんばってみても上手く行かないことの方が多いのです。

これくらいならできそうと思えるちょっとしたことを積み重ねていけば、組織はいい方向に変わっていきます。

「未来解決型思考」ならば、大上段に構える必要はありません。
思考と言葉を変えていただければ十分です。

元大リーガーのイチローさんも言っています。
「小さなことの積み重ねがとんでもないところへ行くただ一つの道」だと。

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