「もっと主体的に動いてほしい」

「もっと主体的に動いてほしい」
多くの経営者や管理職が、そう感じています。

しかし実際には、
・指示されたことしかしない
・言われないと動かない
・責任を避ける
・挑戦しなくなる

そんな状態になっている会社も少なくありません。

すると、
「最近の今の若手は主体性がない」
「もっと当事者意識を持ってほしい」
という話になります。

しかし、本当にそうでしょうか。

私は、多くの場合、社員個人の問題ではなく、“組織の関わり方”に原因があると感じています。

その中でも特に大きいのが、「承認不足」です。

承認とは、“相手に関心を持つこと”

「承認が大事です」
そうお伝えすると、時々こう言われます。

「うちの会社は、ほめる文化が苦手なんです」
「無理にほめるのは違和感があります」
「甘くなりませんか?」

しかし、ここに大きな誤解があります。

承認は、“ほめること”ではありません。

承認とは、“相手に関心を持つこと”です。

例えば、
・周囲をサポートしている
・責任感を持って取り組んでいる
・お客様への配慮ができている
・地道な改善を続けている
・どんな強みを持っているのか
・どんな場面で力を発揮しているのか

そうしたことに関心を持ち、理解しようとすることです。

人は、「自分に関心を持ってもらえている」と感じた時、安心して力を発揮できるようになります。

人は、“関心を持たれていない”と感じると動かなくなる

逆に、承認がない組織では、人は徐々に受け身になります。

なぜなら、「どうせ関心を持たれていない」と感じ始めるからです。

例えば、
・頑張っても反応がない
・改善提案をしてもスルーされる
・ミスだけ指摘される
・数字だけで評価される

こうした状態が続くと、人は次第に、

「言われたことだけやろう」
「余計なことはやめよう」
となっていきます。

これは、やる気の問題ではありません。
人間として、自然な反応です。

そして、この状態になると、会社の中から“自発性”が消えていきます。

「ほめるだけ」の組織が失敗する理由

一方で、承認を勘違いして、

・とにかく褒める
・ポジティブに言う
・否定しない

という方向に行く会社もあります。

しかし、これも長続きしません。

なぜなら、表面的だからです。
「どうせ関心を持たれていない」と感じ始めるからです。

例えば、人は、本当に関心を持ってもらえているかどうかを、敏感に感じ取ります。

だから、
「すごいですね!」
「さすがです!」

を繰り返すだけでは、逆に薄っぺらく感じます。

承認で大切なのは、“具体性”です。

どこに関心を持ったのか。
何を見ていたのか。
なぜ助かったのか。

そこがあるから、初めて相手に届きます。

承認がある会社は、なぜ業績が伸びるのか

承認文化がある会社では、人が安心して動けるようになります。

すると、
・相談が増える
・提案が増える
・挑戦が増える
・改善が増える

という変化が起きます。

つまり、“組織の中に情報が流れ始める”のです。

逆に、承認がない会社では、問題が隠されます。

・失敗を隠す。
・言いにくいことを言わない。
・空気を読む。

すると、問題が表に出ないまま、組織が徐々に弱っていきます。

心理的安全性が高い会社ほど、業績が良いと言われるのは、このためです。

単に“仲が良い”のではありません。

・必要なことを言える。
・挑戦できる。
・助け合える。

そうした状態が、結果として業績につながっていくのです。       
承認は、その土台をつくる最も身近な行動です。

組織は、“関心の持ち方”で変わり始める

組織を変える時、制度や仕組みばかりに目が向きがちです。
もちろん、それも大切です。

しかしその前に、「人をどう見るか」が変わらなければ、組織は変わりません。

人は、“見てもらえている”と感じた時に動き出します。

承認とは、単なるコミュニケーション技術ではありません。

組織の土台となる、“人の見方”そのものなのです。