熱意あふれる社員の割合

日本経済新聞2022年4月10日に、2020年の米ギャラップ社の調査が紹介されていました。

その結果は、日本の「社員のエンゲージメント(士気が高く熱意のある社員の割合)」は5%で非常に低かったのです。調査国の中では最下位です。

2017年にも同様の調査が行われており、そのときには、士気が高く熱意のある社員の割合は6%でした。なんと3年前より1%低下していました。

アメリカ・カナダは2017年の調査では31%だったのが、2020年では34%と3%伸びており、日本とは逆の結果です。

熱意あふれる社員

エンゲージメントとは?

エンゲージメントが低くても、商品やサービスの品質は世界でも上位に入るのですから、エンゲージメントが上がったらもっと素晴らしい会社になり、業績が上がるのは確実です。

では、エンゲージメントを上げていくためには、どうしたらよいのでしょうか?

エンゲージメントは、士気が高く熱意のある社員と表現されています。
抽象的な表現なので、もう少し具体的に定義をしてようと思います。

弊社ではエンゲージメントを
「会社が実現しようとしている目標や理念を理解して、自分のこととして、自分の能力を発揮して、会社や社会に貢献しようとする意欲」
と考えることにします。

エンゲージメント力を上げる3つのポイント

経営理念の理解

まずは、会社の経営理念や目標やビジョンを社員が理解・共感・共鳴することが必要です。

経営理念や目標やビジョンを単に言葉として覚えているだけでは、理解とは言えません。
理解をするためには、経営理念などに対して社員が共感・共鳴することが必要です。

そのためには、社長の心の奥底にある真摯な想いが表現された理念でなければなりません。
真摯な想いがあり、社長がその想いを熱く語るからこそ、社員の胸に響くのです。

社長や経営幹部が自分の言葉として、常に理念を繰り返し社員に語り掛けていくことも重要になってきます。

社員が会社に対する理解を深め、会社に対しての思いや今後自分がどのようにしていきたいかを考え、発表する場を作っていければ、各社員の考えが共有でき、社員の理解はさらに深まります。

実施した会社では、「社員が集まれば、費用も掛かりますが、掛けた費用以上の効果がありました」とおっしゃっていました。
こうした場を作ることで、ベクトル合わせ同じ方向に向かって努力することができるようになるのです。

自分の価値観と経営理念の一致

仕事は決して楽しいことだけではありません。辛いときもあります。指示されていやいや仕事をさせられることもあります。

でも、考えてみてください。

いままでの人生の中で、誰に指示されたわけでもなく、辛いことを乗り越えて、充実感を得た経験があるはずです。

顧問先の社員の田中さんは、中学・高校と野球部でした。
ごく普通の公立高校にいたため、予選で3回戦に進めれば御の字でした。

甲子園に行けないのはわかっていても、放課後や休日なども苦しい練習に明け暮れて3年間がんばってきました。

3年間野球部で田中さんががんばれたのには必ず理由があるはずです。その理由は、インタビューをしていくとはっきりわかってきます。

田中さんは、個々の能力が低くてもチームがまとまって戦術を考え、強いチームに挑んでいくことにやりがいを感じていました。
この経験こそが、田中さんの価値観です。

野球部のときに培ったチームが1つになって、戦法を考えて、戦いを挑んでいく力は、会社でも大いに活きる能力です。

価値観と経営理念とが一部でも一致していれば、仕事をすることが自分の価値観と一致知るため、働く意義を見いだし、エンゲージメントが高くなり、いい結果を生み出してくれます。

会社や社会に貢献

自分のした仕事が評価されればうれしいものです。

会社内で自分の意見を聞いてもらえた、自分の意見が会社に採用された、会社に認められた、会社に貢献できた、と社員が感じればやる気になるものです。

これだけで、この会社に自分は必要とされていると感じます。
さらに、顧客からの評価もやる気をアップさせます。

顧問先の精密機器を製造している会社の製造部では、自分たちが作った製品がどのように顧客から評価されているかを知りませんでした。

そこで、営業マンが顧客にインタビューした結果を製造部に伝えました。

顧客の声は「納期が正確、精度も非常に高」いと高い評価をいただけたことで、自社の製品がこれほど優れていることを初めてしりました。

この結果をしった製造部の社員は、仕事に大きな意義を感じ、モチベーションは上がり、今まで以上に自信をもって仕事に取り組むようになりました。

まとめ

エンゲージメントを上げるには、士気が高く熱意のある社員を増やすには

1.会社が実現しようとしている目標や理念を社員が理解・共感する

2.自分の価値観と経営理念を合わせ、自分の能力を発揮する

3.会社や社会に貢献していることを認識する

この3つを実現するためのそれぞれに施策が必要です。