はじめに

民事再生法が適用された会社を立て直したのは、新たに着任した社長がとったコミュニケーションだったのです。

社長は社員一人ひとりに挨拶して、話を聞きました。このことで、社員は認められていると感じ、会社内に活気が出て、業績はV字回復を果たしたのです。

業績を向上させることは企業にとって常に重要なテーマです。

今回はコミュニケーションの力を活用して、業績を向上させる方法について述べていきます。 コミュニケーションといっても、様々な要素が含まれています。本当のコミュニケーションを理解し、活用することで、関係性や組織風土を改善し、企業の業績向上に繋げることができます。

コミュニケーションの重要性

ビジネスの成功は、コミュニケーションに掛かっています。

信頼関係を作るのも、心理的安全性を高めるのも、業績を伸ばすためにも、コミュニケーション力がとても重要です。

仕事でのコミュニケーションとは、コミュニケーションを通じて、何らかの意思決定をしたり・させたり、何らかの行動を促すことです。

コミュニケーションが上手く取れていないと、仕事が上手く進まないだけでなく、トラブルを起こしてしまうこともあります。

それがもとで人間関係がおかしくなってしまい、職場の雰囲気を悪くし、業績にも悪影響を及ぼします。

コミュニケーションをよくしていくためには、コミュニケーションの本質を理解しておくことが必要です。

コミュニケーションと価値観

コミュニケーションで軋轢を起こしてしまう最大の原因は、それぞれの価値観のぶつかり合いです。

人は育った環境も教育も考え方についても、それぞれ異なる価値観を持っています。

「コピーを取ってください」という指示も、言われた人によって解釈が違います。ある人は、単純にコピーを取る事だと考えています。別の人は、会議に使う資料だから人数分をコピーすることまで考えます。

このように、同じ言葉でも受け取り方や解釈は異なってしまいます。

人数分をコピーして欲しかった上司に対して、部下が1部しかコピーをしなければ、お互いの人間関係が悪くなります。

組織内のコミュニケーションでは、相手の価値観を理解することが必要です。

それには、相手の言った言葉の意味を確認することも重要になってきます。

価値観を理解することで、人間関係の摩擦や誤解を防ぐことができます。

コミュニケーションの力で業績を向上させる!

コミュニケーションを阻害する思い込み

コミュニケーションには思い込みがつきものです。

思い込みとは、過去の経験や先入観に基づいて相手を判断することです。

「きっと相手はこう言うはずだ、こう思っているに違いない」と思って会話をしていて、相手が自分の思っていることと違った事をいうと、その反応は表情に出てしまいます。

表情も非言語のコミュニケーションですから、言葉以上に相手に伝わってしまいます。

思い込みは正確な情報や相手の意図を見落とす原因となります。

思い込みを排除するには、相手の言葉にいちいち反応、反論ぜずに、聞くことに集中することが重要です。

言葉の選び方

コミュニケーションにおいては、言葉の選び方も重要です。

例えば、「なぜ出来ない」「ダメだ」など否定的な言葉や攻撃的な表現を用いると、相手は自己保身のために言い訳をし、防御的な態度になるため、意見や意図が伝わらなくなります。

「どうしたら出来るようになる?」「上手くいったところは?」と肯定的な表現を使うと、前向きな態度になり、意見や意図を自分で考えられるようになります。

また、社内で言葉の意味を共通化することで、コミュニケーションでのボタンの掛け違いが無くなります。

相手の立場や感情に配慮した肯定的な言葉を使うことで、コミュニケーションの円滑化を図ることができます。

問題思考
未来解決思考

信頼関係の構築

組織や仕事の基盤となるのが信頼関係です。

組織内の信頼関係を築くためには、相手を認めることが重要です。
相手の短所を指摘するのではなく、長所を見つけることで関係性はよくなります。

約束を守ることや情報の共有を徹底するなども、信頼関係を構築する上では重要です。

JR西日本のアンケートでわかったように、上司と部下に信頼関係がないと、上司に褒められても部下の意欲は低下したままです。しかし、信頼関係があると、上司に褒められれば、部下の意欲は向上します。

このように、信頼関係は組織全体のパフォーマンス向上に繋がります。

業績が向上するコミュニケーションの役割

コミュニケーションが円滑に行われることで、「そんな意味で言ったのではない」などのコミュニケーション・ミスが少なくなります。

コミュニケーションが正しく行われれば、組織内の関係者、顧客や取引先との信頼感や連携が強化されるため、業績の向上に繋がります。

さらに、コミュニケーションを通じて経営理念や目標やビジョンを共有し、組織全体の方向性を明確にすることも重要です。 情報共有や意思疎通がスムーズに行われれば、効率的な業務遂行が可能となります。

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コミュニケーションの基本のキ、傾聴

コミュニケーションの基本は、相手の話を正確に聞くことです。
ところが、最後まで話を聞かないで、自分の意見を言ってしまうことが多いのです。

自分の意見と相容れないと、相手の話を否定してしまうこともあります。
これでは、話を聞いたことにはなりません。

話をしている人は欲求不満が残り、自分は尊重されていないと感じてしまいます。

傾聴とは、相手の話に耳を傾け、自分の価値観を出さずに、共感や理解を示して聞くことです。

傾聴することができれば、話す手も話しやすくなって、コミュニケーションの質はグーンとアップします。言葉の意味もしっかりと理解することが出来ます。

何より傾聴は話をしっかり聞いてくれますから、相手は尊重されていると感じます。

社長やリーダーは、部下の意見や要望を真摯に受け止ることで、信頼関係を深めることができます。

傾聴をすることで、相手のニーズや課題がわかり、適切な対策を講じることができます。

まとめ

コミュニケーションは企業の業績向上に欠かせない要素です。

価値観の尊重や思い込みの排除、言葉の選び方、信頼関係の構築、傾聴など、様々な要素を考慮しながらコミュニケーションを行うことが重要です。

経営者やリーダーは、これらのポイントを押さえてコミュニケーションの力を最大限に活用し、業績向上に繋げてくだされば幸いです。