関東に450店舗を有するチェーン店を一代で築いた社長が語った成功の秘訣は「経営計画発表会」でした。それもまだ4店舗、社員数名のときだったとおっしゃっていたのです。

そして、経営計画で描いた未来は、時間差はあっても全て達成できたと。

「経営計画なんて、うちの規模でそんな大げさな…」と感じた方こそ、ぜひ続きを読んでいただきたいのです。経営計画と経営計画発表会は、社員数十名以下の企業にこそ、大きな意味を持ちます。

経営計画とは、「未来の設計図」

経営計画と聞くと、「売上目標」や「利益計画」など、数字ばかりを想像しがちですが、本当に大事なのはそこだけではありません。

・なぜこの事業をするのか(理念・存在意義)

・どこを目指すのか(ビジョン)

・今年は何をするのか(具体的な戦略と行動計画)

こうした「想い」から「行動」までを一貫して記したものが、本来の経営計画です。

この計画があることで、以下のような効果が期待できます。

・社員が「社長の頭の中」を理解できる

・判断に迷ったときの拠り所ができる

・採用や取引先への説明材料にもなる

中小企業においては、社長の考えがそのまま組織の方向性になります。

だからこそ、「言語化」された経営計画書が、組織の質を上げていくのです。

なぜ「経営計画発表会」をやるのか?

いくら素晴らしい経営計画を作っても、社長の机に眠っていては意味がありません。

そこで効果を発揮するのが「経営計画発表会」です。

この経営計画発表会の目的は、ズバリ“共感と自分ごと化”です。

・社長のビジョンを、社員が「自分の言葉」で語れるようになる

・「売上目標」ではなく「意味ある挑戦」として認識される

・部門間の横のつながりとチーム意識が強まる

経営計画発表会は、ただの数字の説明会ではなく、「この会社で一緒に未来をつくっていこう」と感じてもらうための時間です

そして、優秀な社員が辞めてしまうのも、会社の未来が見えないからです。
経営計画発表会をやることで、社員の定着率も高まっていきます。

また、社員だけでなく、取引先・金融機関を招いた発表会にすれば、会社の信頼性を高めるプレゼンテーションの場にもなります。

社員は「理解・共感」してこそ動く

たとえば、ある製造業の経営者がこんなことを語っていました。

「経営計画なんて、作っても社員は読まないだろうと思ってたけど、発表会で想いを話したら、現場の反応が全然違ってびっくりした」

「うちの社長、そんなこと考えてたんだ…」

「言われたことしかやらないと思ってたけど、自分も意見していいんだと思った」──そんな声が出て、次第に主体性のある現場へと変わっていったのです。

計画を“押しつける”のではなく、対話と共創の起点として活用する。そこに発表会の真価があります。

人は、納得して、心が動いてこそ、行動に移ります。
「こうしろ」ではなく、「こうしたいと思ってるんだけど、一緒にやってみないか?」という姿勢が、会社を動かす原動力になるんですね。

■ 経営計画発表会で終わらせず、「仕組み化」へ

経営計画発表会を一過性のイベントで終わらせないためには、以下のような工夫が効果的です。

・各部署で経営計画を元にした行動計画を立案

・毎月の進捗ミーティングで振り返り

・評価制度と連動させる(頑張りが見える化される)

つまり、計画→発表→実行→振り返りというサイクルを回すことで、組織に“計画的に前進する文化”が根づくのです。

まとめ:言葉にしなければ、伝わらない

社長の頭の中には、いつもたくさんのアイデアや想いが詰まっています。

しかし、社員から見ると「何を考えてるのか分からない」と思われてしまうこともあります。

会社の未来を本気で考えているのならば、「社員はわかってくれるだろう」ではなく、「ちゃんと伝える」「一緒に考える」姿勢が求められます。

経営計画と発表会は、「うちの会社は、こういう想いで、こういう未来を目指しているよ」というメッセージを最も効果的に伝える手段です。

中小企業だからこそ、「人の力」が業績を左右します。

社員の心に火を灯す「言葉と場」を、来年こそ丁寧に設けてみませんか?