チェーン展開をしているある飲食店の会社の社長は、SGDs(持続可能な開発目標)の考えに賛同し、積極的に取り組んでいます。

中小企業では、SGDsに対する理解が進んでいない中でも、いち早く取り入れた理由を聞いてみました。

外務省の「SDGsとは?」ページはこちらから

SGDsを実践している理由

すると社長は「弊社の企業理念は『健康で美味しい、幸せを創造』ですから、それを実践しているだけです」と微笑みながら答えてくれました。

「農薬や添加物を使えば、安い食材は手に入りますが、それが人間の身体によいとは思えません。食べ物が人間の身体と健康を作るのですから。

有機農法で栽培した野菜や添加物のない美味しくて健康にもよい食材を提供することは、企業理念を実現することであり、SGDsの目標3『すべての人に健康と福祉を』と同じなんです」と明快です。

しかし、健康によい食品を扱えばコストが高くなりますから、販売価格も高くならざるを得ません。

価格は少し高いけれども、商品のよさを理解してもらえば購入してくれるお客様は増えてきています。

そのために、商品に対する理解を深めるようにお客様にも伝え、取引先にも啓蒙活動を続けています。

また、読書会や研修なども定期的に実施して、社員の教育にも力を入れており、
企業規模を拡大していくことが、健康に良い商品を多くの方に広めて行く手段であり使命だとお考えです。

この取り組みも目標8「働きがいも、経済成長も」に通じています。

日本人だけでなく、外国の方々も社員として採用をしており、給与体系も日本人と同じです。

「同じように働いているのに賃金が違う方がおかしいでしょう」とおっしゃっていました。
これも目標10「人や国の不平等をなくそう」の一環です。

SGDsと社長の人生理念

「これほどまでにぶれずに経営が出来るのはなぜなのか?」
この点が一番気になるところです。

仕事が一段落して、緊張が解けてほっとしたときに、何気なく聞いてみました。

社長は
「子供にアトピーがあり、苦労しました。他の子が遊んでいるときに、体中がかゆくて一緒に遊べなかったのを見ているは辛かったんです。

食べるものにも気を遣いました。おかげ様で子供も良くなりましたが、私たちは食べものを提供している会社です。

だから、アトピーなどで苦しんでいる人達が、食べるものを通じて健康になって欲しいとの思いから、企業理念にも健康を入れたんです」と企業理念を考えた理由も語っていただけました。

さらに社長は続けられました。
「お恥ずかしい話、以前は売上に執着したときもありました。

そのときは社内の雰囲気も悪くなってしまい、私も余裕がなくギスギスしていたと思います。でも子供のアトピーで考え方が変わりました。

SGDsと会社の売上・利益

会社を経営していく上では、売上・利益は必要です。社員に売上・利益のことは言います。

しかし、それは店舗を増やして行くための原資であり、多くのひとに良い商品を届けるための手段です。

今は、お客様が喜ぶ姿を見られること、社員が笑顔でイキイキと働いていることの方が、よほどうれしいですし、仕事も充実します。

仕事を幹部に任せられるようになったのも大きいですけどね」

経営理念が社長の人生理念から出来ていると、経営はぶれません。

社長の心の奥底からの思いがこもった理念であれば、社員の心を動かします。

そして、経営理念を実現することは、社長自身の思いが実現することでもあるのです。