忙しい社長の予定
以前、ある社長と話をしていたときのことです。
「とにかく忙しいんですよ」
そうおっしゃるので、何にそんなに時間を取られているのか聞いてみました。
経営者の勉強会、経営者同士の親睦会、ゴルフなど、予定がびっしり入っていました。
もちろん、経営者同士の交流から新しい情報を得たり、人脈が広がったりすることもあります。
ゴルフから仕事につながることもあるでしょう。
しかし、よく聞いてみると、すべてが必要な予定というわけではありません。
「付き合いだから」
そんな理由で参加しているものもありました。
そこで私は、
「単なる付き合いで、行かなくても困らないものなら、断ったらどうですか」
と申し上げました。
すると、その社長は少し考えて、
「そうだよね」
と納得されていました。
社長は、自分の時間にもっとわがままでいい
社長という立場になると、いろいろなところから声がかかります。
経営者の集まり、業界団体、地域の会合、懇親会、ゴルフ。
誘われれば、「付き合いも大切だから」と参加する。
その結果、スケジュールはどんどん埋まっていきます。
そして、
「忙しくて時間がない」
となってしまいます。
しかし私は、社長は自分の時間について、もっとわがままになっていいと思っています。
行きたくないから行かない、という意味ではありません。
自分が何に時間を使うのかを、自分で決めるということです。
会社にとって必要なら参加する。
大切な人との関係をつくるためなら時間を使う。
しかし、単なる付き合いで、参加してもしなくても変わらないのであれば、断ってもいいのではないでしょうか。
社長には、考える時間が必要
なぜ、そこまで社長の時間にこだわるのか。
社長には、考える時間が必要だからです。
目の前の仕事をこなすだけなら、予定が詰まっていてもできるかもしれません。
しかし、会社の将来を考えるには時間が必要です。
半年後、一年後、会社をどうしていくのか。
これから、どのような会社にしていきたいのか。
そのために、何を始め、何をやめるのか。
社員をどう育てていくのか。
次の経営の柱をどうつくるのか。
こうしたことは、移動中の10分や、会議と会議の間の空き時間だけで考えられるものではありません。
予定を入れず、じっくり考える時間が必要です。
ところが、予定表が人との約束で埋まっていると、この時間が真っ先になくなります。
考える時間は、予定表には表れにくいからです。
だからこそ、社長は意識して、考える時間をつくらなければなりません。
空いたら考えるのではなく、考えるために時間を空けるのです。
社長の時間も会社の経営資源
私は、社長の時間も会社の大切な経営資源だと考えています。
社員の仕事を手伝うことも、会合に出席することも、取引先とゴルフをすることもできます。
しかし、その時間に会社の将来を考えられるのは、社長しかいません。
だから、
「誘われたから行く」
「いつも参加しているから行く」
「断りづらいから行く」
ではなく、
「この時間の使い方は、会社にとって本当に必要なのか」
と一度考えてみてほしいのです。
付き合いを一つ減らせば、数時間の時間が生まれます。
その時間で会社の将来を考える。
社員とじっくり話す。
新しい事業について考える。
あるいは、何も予定を入れず、頭の中を整理する。
それも立派な社長の仕事です。
社長は、もっとわがままになっていい。
ただし、それは自分勝手になるということではありません。
会社の将来を考えるために、自分の時間を守る。 社長には、そんな「わがまま」も必要なのではないでしょうか。


