離職率が高い会社に共通していることの1つに「上司との関係性」があります。
リクナビNEXTのアンケートでも、社員の退職理由の第一位が「上司との関係性」なのです。
(参考HP:https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/4982/)

仕事をする上で、ストレスの元となる原因は様々です。
その中でも、人間関係や上司との関係が上手くいってない場合には相当なストレスになります。

関係性が悪いと退職をしないまでも、仕事の成果にも悪影響が出てしまいます。

これを証明するようなアンケート結果がありました。
平成17年(2005年)に発生したJR西日本福知山線脱線事故を調査した鉄道事故調査委員会は「運転士への懲罰的な日勤教育が事故の背景にあった」と指摘しました。

これを受けて、JR西日本では、社内に安全研究所を設置して、運転士とその上司あわせて530人にアンケートを実施したのです。

その結果は、

1.部下が工夫した点を上司が評価した場合は業務への責任感が上昇するが、評価しなかったときには責任感が低下する。

2.上司と部下の関係が悪い場合は、評価されても部下の責任感が低下する。

このアンケートは、非常に興味深いものでした。

1.については、
自分が工夫した点やがんばったところを上司が見ていてくれて、評価してくれれば、部下のやる気はアップします。

反対に、いくら成果を出しても評価してくれなければ、やる気は下がってしまいます。これは当然でしょう。

問題は2です。
上司と部下の関係性が悪い場合には、上司がいくら評価をしても、部下のモチベーションは下がってしまうのです。

嫌いな(仕事のできない)上司に褒められても、部下は「お世辞を言って、機嫌取りをしているな」と腹の中では思っています。

ただし、人事評価で給料や賞与を下げられてはたまらないので、表向きは従ったふりをしているという、面従腹背な態度をとっているのだけなのです。

以前に私どもが行った「嫌いな上司」についてアンケートの結果は、

第1位 上司のミスを部下に押しつけてくる

第2位 口先だけで、実行が伴わない

第3位 部下の手柄を自分の功績にする

第4位 部下の話を聞かない

第5位 上に媚びて、下には厳しい

第6位 部下を信用していない

第7位 方向性をしめさない

この結果からわかることは、「嫌われる上司」は、チームや部下の事よりも、自分が楽をすることや保身に走っていることがわかります。

それに加えて、自分の能力のなさ、自信のなさを部下に悟られたくないようにも感じられます。

しかし、部下は上司の言動から本音を的確に見抜いています。

では、部下との関係性を改善し、信頼関係を作っていくためにはどのようにすればいいのでしょうか?

仕事に対して真摯に取り組み、部下の見本となる姿をみせることが最も大切です。

従来からあるチームを外交的で親分肌なリーダーシップの概念に縛られることはありません。

リーダーのもっている素晴らし資質を引き出すことで、部下をリードしていくことはできます。

内向的な人でも、冷静に考えて、安定感があって、忍耐力があれば、そこを伸ばして行けばいいのです。これが新しいリーダーシップです。

誰もが完璧ではありませんから、部下に弱みを見せてもいいんです。
上司の足りない部分は、部下がカバーすればよく、それができてこそ組織の力が強くなっていきます。

そのためには、部下のいいところを認めて伸ばして行くことも上司の大切な役割です。

そうはいっても、上司にも今までの経験がありますから、すぐに変化をすることは簡単ではないでしょう。

それを可能にするためには、自分自身と向かい合って、深く自分を知り、思考を変化させる機会を会社としても作って行く必要があります。

自分自身を知り、思考が変われば「最近、部長変わったよね」と部下から言われるようになるまでには、そんなに時間は掛かりません。
上司が、見本となり、部下を信頼して、話をよく聞けば、組織の人間関係もよくなり、業績もアップします。

それには上司本人の覚悟と会社がリーダーを育成するプログラムを用意することが必要です。