「自分で考えて仕事ができる社員が理想なんですが、うちの会社は指示待ち社員が多くて困ってます、最近はそうなんですかね?!」
と社長や経営幹部、リーダーから伺うことが多くなりました。
そのときに「指示待ち社員が増える原因の1つに、社長や経営幹部、リーダーが優秀であることも多いのです」と申し上げることもあります。
「え?!それは社員の能力の問題でしょう!」と言われることもありますが、実はそれだけではありません。
部下が一生懸命に考えて行ったことが、少し上手くいかないと
「自分だけで進めるから、上手くいかないなんだ」と上司が否定的な言葉を発すれば、部下のやる気はそがれます。
言葉が優しくても、上司の表情が険しくなっていれば、部下は上司は良く思っていないと感じるはずです。
部下ににしてみれば、一生懸命に考えて行ったことを否定されては、たまったものではありません。
これを繰り返していると、「自分で考えても否定されるだけなら、言われた通りにやっておけばいいや」と思うのは当たり前です。
また、否定され続けると否定されることに意識が向き萎縮をしてしまうので、簡単なことでもミスを起こすことがあります。
これは、ゴルフでバンカーが気になると、気にすればするほどボールがバンカーに飛んで行ってしまうのと全く同じ心理状態です。
優秀な方は往々にして、仕事や部下に対して求めるレベルは高くなります。
自分ができたんだから「これくらいはできて当然だ」との思いがあるからです。
だから、自分の求めるレベルと部下のした仕事のレベルに差があり、その差が大きければ大きいほど、期待を裏切られたとの思いが強くなります。
上司の期待と部下の仕事レベルの差が大きいと、ときには怒りの感情が出てしまうことすらあります。
こんなことを続けていると、たちまち「指示待ち社員」を量産することになってしまい、社内に活気はなくなり、どんより重い雰囲気に包まれてしまいます。
恐怖で部下をコントロールし、叱ることで部下を働かせるのは「指示待ち人間」を量産するには最適な方法です。
そして、不幸な職場になってしまいます。
若い頃のことを思い出してみてください。
優秀な方ほど、自分自身の考えで仕事を進めたかったのではないでしょうか?
また、実際に上司の指示を守るような振りをして、自分の思う通りに仕事をしていたのではないでしょうか?
「やらされ感」ではなく、自ら進んでやったことは、どんなにキツイ仕事でもイキイキと働いていたのではないでしょうか。
きっと、自分で考え、行動していれば、ハードワークも楽しく感じていたはずです。
ご自身の経験からも、
指示したことしか行わず、やらされ感だけで、いやいや仕事をさせられるのと、
自分で考えて行動をし、イキイキと働くことができるのと、
どちらがいいのかを経営幹部の方々はよくわかっているはずです。
指示待ち人間でなく、自ら考えて動ける社員・人を育てていくには、
1.コミュニケーションをとってお互いの考えを知る
2.信頼をして、仕事を任せる。
3.素晴らしい点をしっかり評価する(認める)
この3つが必要です。
たとえ、上手くいかなかったことがあっても、自ら考えてやったことは、評価してあげることです。
失敗することで気付くこと、勉強になることは沢山あります。
上手くいかなかったことでも、その中に良かった点はあるはずです。
よかった点を評価し、次に成功するためにはどうするかを考えることで人は伸びていきます。
人が育つのは時間が掛かります。
ときには我慢をするときもありますが、それを見守って、がんばっていることを認めることが、やりがいのあるイキイキとした幸せな職場を作ります。
そんな職場をつくることが出来るのが、優秀な経営幹部ではないかと思います。