「○○君は元気に挨拶ができる」
「○○君は冗談を言ってみんなを楽しくしてくれている」
こう言われたは、どう感じるでしょうか?
悪い気はしないはずです。

研修などで、自分の長所を20個書いて下さいというと、10個書ける方ですら少ないのです。
ところが、自分の欠点を20個書いてくださいというと、すらすらと20個書けてしまいます。
自分のことも、他人のことも欠点の方に目がいきやすいんですね。

スポーツの世界でも同じで、あるホッケーチームのことだったと記憶しています。
強かったチームが連敗をするようになった時のことです。

試合が終わると「あいつがいいパスを出してくれさえすれば勝てたのに」
「キーパーの反応が遅いんだよ」など、
チームメートの悪口を言い合っていました。

連敗が続けば、当然のように新しいコーチが就任します。
そして、このコーチは、何とたった1週間で勝てるチームに変えたのです。

果たしてどんなことをしたのでしょうか?

それは、とても簡単なことでした。

コーチが就任して、すぐに気付いたのが、チームの雰囲気が悪いことでした。

そのチームを強くするために、コーチが行ったことは、スパルタな練習をするのではありません。

チーム全員で心に「いいとこメガネ」を掛けて、チームメートのよい点を認め合うミーティングだったのです。

このミーティングが終わる頃には、本人も気付かなかったよい点をチームメートから認められて、険しかった表情が、自信あふれるいい表情へと変わっていきました。

そして、余計な堅さがとれ、緊張感が和らぎ、チーム全体のまとまりが出て、勝てるチームに変身しました。

スポーツでも仕事でも、人が集まれば、同じことです。
職場がいい雰囲気になれば、そこで働く人のやる気も出てきます。

人材募集が難しくなっている昨今、求人方法に知恵を絞ることはもちろんですが、働きたくなるような職場環境をつくることが大切です。
そうすれば、定着率もよくなりますし、応募率も上がります。

多くの会社では、社長や経営幹部は、部下に伸びて欲しいという思い気持ちから、欠点を直そうと頑張って指導しています。

しかし、欠点ばかりに目が行ってしまうと「何でこんなこともできないんだろう!」と怒りのオーラが出てしまうのです。
するとそのオーラは、たとえ言葉にしなくても、確実に相手に伝わります。

これが続くと部下は萎縮してしまい、その人の能力が充分に発揮できません。

それを解消するには、スイスのホッケーチームのように、「いいとこメガネ」を掛けて相手のよい点を見るようにすればいいのです。

彼のいい点はどこなのか?そんな視点を持っていると今まで気付かなかったいいところが見えてきます。
いいところがみつかったら、声に出して伝えましょう。

「いいとこメガネ」を使えば、長所を評価されるので、自分の存在を認められることになるので、やる気になります。

欠点ばかりを指摘されると人は、緊張を強いられ、防御態勢に入ります。
時には自分を防御するために攻撃に出る場合もあります。
キレるという行為もその1つです。

しかし、いいところを見てもらえると、「自分のことを判ってくれている」と思い、信頼関係も強くなります。

信頼関係があれば、叱られても納得できます。信頼関係がないのに叱られれば関係は悪化するだけです。

人は叱られても、強制されても、納得していなければ、動きません。本人が気付いて納得できれば、いい仕事をします。

あなたの会社でも「いいとこメガネ」を掛けて、企業文化をよくし、イキイキと働ける職場にしませんか?