多くの企業において、経営者や管理者は、社員のために良いことをしているつもりでも、それが必ずしも社員にとっての「良いこと」とは限らないというケースが少なくありません。

社員の健康増進のための会社が契約しているフィットネスジムで定期的に行われるプログラムは、とても素晴らしい取り組みに思えます。
しかし、一部の社員たちにとっては、運動することが負担に感じられるかもしれません。

また、プログラムに参加しないことで周囲とのコミュニケーションが取りづらくなったり、他の業務に支障をきたす可能性もあります。

このように経営者と社員の間にギャップが生まれる背景には、主に2つの要因が考えられます。

本音と思い込みのギャップが生まれる要因

1.コミュニケーション不足

経営者と社員の間のコミュニケーション不足はこのギャップを大きくします。
経営者が社員の声に耳を傾け、社員が経営層に対して意見を言いやすい環境が整っていない場合、互いの理解が進まず、認識のズレが生じてしまいます。

2. 思い込みと固定観念

経営者は、自身の過去の経験や成功体験に基づいて、社員にとって何がベストなのかを判断しがちです。

しかし、時代や環境、社員の価値観は常に変化しており、自身の成功体験が必ずしも、社員に通用するとは限りません。

また、経営者は、自らの価値観や考え方こそが正しいと思い込み、様々な価値観を持つ社員の声に耳を傾けないことも少なくありません。

コミュニケーション不足、思い込み、固定観念などが絡み合うことで、社員にとっての「良いこと」と経営者が考える「良いこと」の間にギャップが生じてしまうのです。

本音と思い込みのギャップを解消する方法

では、このギャップを解消するためには、どのような取り組みが必要でしょうか。

1. 双方向のコミュニケーション

経営者は定期的に、社員と直接対話する機会を設けることが重要です。
また、社員からの意見や提案を積極的に吸い上げる仕組みを作ることも大切です。

具体的には、以下のような方法が考えられます。

コミュニケーション・ワークショップの開催
・社員アンケートの実施
・提案制度の導入
・定期的な懇親会や交流イベントの開催

2. 多様な価値観を受け入れ

経営者は、自らの価値観や考え方こそが正しいと思い込まず、多様な価値観を持つ社員の声に耳を傾けることが大切です。
そのためには、以下のような意識を持つことが重要です。

・異なる意見を尊重する多様性を受け入れる
・肯定的な見方をする
・固定観念にとらわれない
・変化を受け入れる

3. 自律型組織を作る

経営者は、ビジョンに基づいて、社員が自ら考えて、自律的に行動する組織作りをすることです。
社員が自分で計画し実行して成果を出すからこそ、社員の成長にもつながります。

具体的には、以下のような方法が考えられます。

・会社のビジョンを明確にする
・会社の独自性・競争優位性を理解する
・自身が考えた目標設定
・経営理念と社員の価値観(仕事観)を合わせる
・経営数値を公開する

4. 研修やトレーニングを通じて社員を育成する

社員一人ひとりが、自身の能力を最大限に発揮できるよう、研修やトレーニング、プロジェクトチームに参加することで、社員を育成することが重要です。

具体的には、以下のような研修やトレーニングが考えられます。

・プロジェクトチームに参加
・コミュニケーション・ワークショップ
・リーダーシップ研修
・スキルアップ研修

まとめ

社員のためにと思ってやっていることが、実は社長の思い込みであり、社員はたまったものではないという問題は、多くの企業が抱える課題です。

この課題を克服するには、経営者と社員が一体となり、双方向のコミュニケーションを促進し、多様な価値観を受け入れ、自律型組織をつくり、研修やトレーニングを通じて社員を育成するなど、様々な取り組みが必要です。