「若手社員とコミュニケーションが上手く取れないんです。直接話すのではなく、メールで連絡をしてくるんです」
不定期で行っているコミュニケーション勉強会で、あるベテラン社員の方がこんな言葉を漏らしました。
若手社員との会話が上手くできない、何を考えているかわからない。
世代間のギャップによるコミュニケーションの難しさは、多くの職場で見られる課題です。
そんなときに、「相手が変わる必要がある」と考えてしまうと、コミュニケーションは改善しません。逆に関係性が悪化してしまいます。
大切なのは、自分自身が変わることです。
心の障壁は誰が作るのか?
「若い人は何を考えているのかわからない」「コミュニケーションが取れない」と考えているのは、ベテラン社員が「心の障壁」を作っているからなのかもしれません。
世代が違うからわかり合えないのは当然と半ばあきらめてしまって、自分から話しかけることをためらわせます。
このベテラン社員に聞いてみたところ、やはり若手社員に話しかけることは殆どないとのことでした。
これでは、コミュニケーションの機会が減り、ますます距離が広がってしまいます。
しかし、この「心の障壁」は、シンプルな方法で解消できます。
「ほめほめワーク」

相手との心理的な距離を縮めるためには、まず自分を知り、相手に興味を持ち、良いところを見つけることが重要です。
そのために有効な方法の一つが「ほめほめワーク」です。
相手の長所、いいところ、頑張っているところを認め合い、お世辞ではなく本音で良いところを伝え合うことでお互いに親近感がわき、話しやすい環境ができます。
「ほめほめワーク」が進むにしたがって、場の雰囲気がどんどん和やかになり、最後には笑顔が溢れる時間に変わります。
このように、相手の良いところを見つけて、それを言葉にして伝えることは、非常に強力なコミュニケーションで、関係性が良くなり、安心安全なチームのベースになります。
「目的を伝える、確認する」
コミュニケーションのベースができたら、次はビジネスを円滑に進めるコミュニケーションです。
仕事のコミュニケーションは、コミュニケーションを通じて、何らかの意思決定をしたりさせたり、何らかの行動をしてもらうことです。
仕事上でのコミュニケーションの課題は、「話や指示の内容が正しく伝わらない」ことです。
同じ言葉でも、受け手によってその意味は大きく異なる場合があります。これは、相手のこれまでの経験や価値観による影響が大きいためです。
例えば、上司が「この資料を仕上げてほしい」と部下に指示する場合には、その目的を伝える必要があります。
もし、目的がわからなければ、指示された部下の解釈で資料を仕上げてしまうことが往々にしてあります。
部下が自分の考えで仕上げた資料を提出すると、上司からは「この資料じゃ使えない」とダメ出しをされては、仕事へのモチベーションがさがり、上司との信頼関係は失われ、コミュニケーションは遮断されます。
この問題を防ぐには、「目的の共有」が欠かせません。
上司が指示を出す際には、仕事の背景や目的をしっかり説明することが大切です。
部下に仕事の意義が明確になれば、行動へのモチベーションも高まります。
また、部下もわからないことをそのままにせず、「この仕事の目的は何ですか?」と聞くことが重要です。
部下が上司に聞きやすい環境を作るのは互いに認め合い、信頼していることが条件です。
「ほめほめワーク」と「目的の明確化」その2つでコミュニケーションの質は徹底的に向上します。
小さな一歩が会社を変える
社内のコミュニケーションを活性化するには、特別なスキルや大層な仕組みは必要ありません。
日々の小さな気づきと行動が大切です。これらを少しずつ実践することで、社内の雰囲気や関係性は確実に変わっていきます。
今日からでもできることがあります。
同僚やその仕事に興味をもつ、指示を出すときに目的を伝える、これだけで会社全体のコミュニケーションがよくなり、仕事も円滑に進んでいきます。
小さな積み重ねが、より良い会社への扉を開いてくれます。