「人材が大切」と言うだけでは会社は変わらない
「人材が一番大切です」
そう話す経営者はたくさんいます。
では、一つだけ質問です。
あなたの会社では、利益の何%を人材育成に投資していますか?
すぐに答えられるでしょうか。
「教育は必要だ」と考えていても、研修は仕方なく実施するもの。
教育費は利益が残ったら使うもの。そんな位置づけになっている会社は少なくありません。
しかし、本当に人を大切にしている会社は、人材育成を「余裕があればやること」ではなく、「会社の未来をつくる経営戦略」として考えています。
以前、私がお会いしたある会社では、毎年、売上総利益の5%を人材育成に充てることを経営方針としていました。
しかも、その教育費は全社員に均等ではありません。
将来、会社を支える可能性が高い社員には、外部研修、資格取得、経営者向け勉強会、他社視察など、より多くの成長機会を用意していました。
社長はこう話していました。
「教育は福利厚生ではありません。会社の未来をつくるための投資です」
私は、この言葉がとても印象に残っています。
人への投資は、最も利益を生み出す投資
多くの会社では、設備投資には慎重に計画を立てます。
新しい機械を導入すれば、生産性はどれくらい上がるのか。
新店舗を出店すれば、何年で回収できるのか。
ところが、人への投資になると、「費用」という見方をしてしまう会社が少なくありません。
しかし、会社の利益を生み出しているのは設備ではありません。
設備を使いこなし、改善し、お客様に価値を届けているのは、すべて「人」です。
だから私は、人への投資ほど、長期的に大きな利益を生み出す投資はないと思っています。
人づくりは、研修ではなく日常で行われる
もちろん、人づくりとは研修を増やすことではありません。
年に一度、研修を受けたから人が育つわけではないでしょう。
人は、日々の仕事の中で育ちます。
・上司との対話。
・挑戦する機会。
・失敗から学ぶ経験。
・「ありがとう」「助かったよ」「その考え方はいいね」という承認の言葉。
そして、自分で考え、判断し、行動する機会。
こうした積み重ねが、人を成長させます。
だからこそ、人づくりは人事部だけの仕事ではありません。
管理職だけの仕事でもありません。
社長自身が最も力を注ぐべき仕事なのです。
人的資本経営の先にある「人本経営」
最近では、「人的資本経営」という言葉を耳にする機会が増えました。
社員を企業の資本として捉え、その価値を高めることで企業価値を向上させるという考え方です。
もちろん、とても重要な考え方です。
しかし、私はさらに大切なのは「人本経営」だと考えています。
人本経営とは、人を利益を生み出す資本としてだけではなく、一人の人間として尊重する経営です。
社員を「労働力」として見るのではなく、「可能性を持った人」として見る。
一人ひとりの強みを活かし、成長を支援し、その人らしく働ける環境をつくる。
その結果として、会社の価値も高まっていく。
私は、この順番が大切だと思っています。
利益を上げるために人を育てるのではありません。
人を大切にし、人が成長した結果として利益が生まれるのです。
これが、人本経営の考え方です。
育てないことこそ、会社にとって最大のリスク
「育てても辞めてしまう」
そんな声を耳にすることがあります。
確かに、その可能性はあります。
しかし、私はこう考えます。
「育てなかった社員が会社に残り続けることの方が、経営にとっては大きなリスクではないでしょうか」
人が育たなければ、社長がいつまでも現場を離れられません。
幹部は育ちません。
会議では意見が出ず、改善も生まれません。
その状態では、会社は大きく成長することはできないでしょう。
人づくりには時間がかかります。
今日始めて、明日成果が出るものではありません。
だからこそ、一日でも早く始める価値があります。
五年後、十年後に大きな差となって表れるのは、設備投資の差ではなく、人づくりへの投資の差です。
会社は、社長一人の力では成長し続けることはできません。
社員が育ち、管理職が育ち、次のリーダーが育ってこそ、会社は持続的に成長します。
その未来をつくるのは、社長の「人づくりを最優先にする」という決断です。
だからこそ、伸びる会社の社長は、人づくりを最優先にするのです。
あなたの会社は、どの段階でしょうか?
人づくりを大切にしているつもりでも、組織の状態は意外と客観視できないものです。
社員が自ら考え、行動する組織になっているか、3分で確認してみませんか。


