利益は企業にとって欠かせないもの
「利益をもっと増やしたい。」
経営者であれば、誰もがそう考えるでしょう。
利益がなければ、社員の給与を上げることも、新しい設備へ投資することも、人材を育成することもできません。
会社を存続させるためにも、利益は欠かせません。
私自身も独立した当初は、売上や利益を伸ばすことを目的としたコンサルティングを行っていました。
その経験があるからこそ、利益の重要性はよく理解しています。
しかし、多くの企業を支援する中で、一つ確信したことがあります。
それは、利益だけを追い求めても長続きはしないということです。
例えば、利益だけを追い求める会社では、「あと〇〇万円売ろう」「利益率を上げるために経費を削減しよう」といった会話が増えます。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
しかし、そればかりに意識が向くと、お客様にとって本当に必要なことや、社員がより良い仕事をするための工夫がおろそかになってしまいます。
私は、この順番を間違えないことが、伸びる会社の共通点だと感じています。
「価値」とは何か
では、「価値」とは何でしょうか。
私は、お客様に提供する価値は大きく四つあると考えています。
一つ目は機能的価値です。「早い」「便利」「品質が高い」など、商品やサービスそのものが持つ価値です。
二つ目は情緒的価値です。「安心できる」「感動した」「対応が気持ちよかった」など、お客様の感情を動かす価値です。
三つ目は自己表現価値です。「この会社を選ぶことが自分らしい」「このブランドを持つことに誇りを感じる」といった価値です。
四つ目は社会的価値です。「環境に配慮している」「地域に貢献している」など、この会社を応援したいと思っていただける価値です。
お客様は、こうした価値を総合的に判断して商品やサービスを選んでいます。
そして、最も大切なのは、お客様が期待している価値を少しでも上回ることです。
期待どおりであれば満足していただけます。しかし、期待を超えた瞬間に感動が生まれます。
その感動が「また利用したい」「誰かに紹介したい」という気持ちにつながり、お客様との信頼が積み重なっていきます。
その信頼こそが、会社にとって最も大きな財産なのです。
期待を少しだけ超える会社が選ばれる
例えば、飲食店であれば、「料理がおいしい」のは今や当たり前です。
しかし、お客様の名前を覚えていたり、さりげない心遣いがあったり、まるで自宅に帰ってきたような家庭的な雰囲気を感じたりすると、「また来たい」と思っていただけます。
製造業でも同じです。「納期を守る」のは当然です。
しかし、図面や仕様書どおりにつくるだけではなく、期待以上の精度で仕上げたり、使いやすさまで考えた提案をしたりすることで、「この会社なら安心して任せられる」という信頼につながります。
つまり、お客様は商品やサービスだけを買っているのではありません。
その会社だからこそ得られる価値を選んでいるのです。
伸びる会社は、「約束を守る会社」ではありません。
「期待を少しだけ超える会社」です。
自社の強みを磨き続ける
もちろん、すべての価値を高めようとする必要はありません。
大切なのは、自社の強みを磨き続けることです。
技術力が強みなら、その技術をさらに高める。
接客が強みなら、お客様が感動するおもてなしを追求する。
提案力が強みなら、お客様自身も気づいていない課題まで提案する。
「あれも、これも」と手を広げるより、自社が最も価値を発揮できる分野を徹底的に磨く方が、お客様から選ばれる理由になります。
他社には真似できない強みを育て、その分野で期待を超え続けることが、結果として競争力につながるのです。
価値を追求した先に利益は生まれる
この考え方は、お客様だけではありません。
社員に対しても同じです。
成長できる環境という価値。
安心して挑戦できる環境という価値。
仕事に誇りを持てるという価値。
こうした価値を社員に提供し続けることで、人は育ち、組織は強くなります。
利益は会社の目的ではありません。
会社が社会やお客様、そして社員に提供した価値に対する評価として生まれる結果です。
だからこそ、伸びる会社の社長は「今月いくら利益を出すか」だけを問いません。
「私たちの強みは何か?」
「お客様の期待をどうすれば超えられるか?」
その問いを持ち続け、価値を追求し続けることが、会社を持続的な成長へ導いていくのです。


