表面上の課題と本当の課題

「うちの社員は、言われたことしかやらない」

「何度言っても、社員の意識が変わらない」

「もっと自分で考えて行動してほしい」

社長から、このような相談を受けることがあります。

個別相談では、まず社長に会社の現状や課題について詳しくお聞きします。

そして、話を深掘りしていくと、社長が当初考えていた課題とは違う問題が見えてくることが少なくありません。

例えば、社員が自分で考えて行動しないという問題。

詳しくお聞きすると、職務要件書は作成されていても、社員が自分の役割や責任を十分に理解していなかったり、評価基準が曖昧で、何をどこまでやれば評価されるのかわからなかったりすることがあります。

また、社長は社員に仕事を任せているつもりでも、実際には細かなことまで指示を出している場合もあります。

これでは、社員に「もっと自分で考えて行動してほしい」と言っても、なかなか変わりません。

社員の意識や能力の問題だと思っていたことが、実は会社の仕組みや社長の関わり方の問題だったのです。

仕組みをつくるだけでは会社は変わらない

社員が自分で考え、行動できるようにするためには、会社が目指す方向を明確にし、社員一人ひとりの役割や責任をはっきりさせることが必要です。

そのために、経営戦略や戦略マップを策定し、評価制度やマネジメントシステムを整備することもあります。

また、社員がそれらを理解し、実践できるようにするための研修も必要です。

しかし、ここで忘れてはならないことがあります。

仕組みをつくっただけでは、会社は変わらないということです。

どんなによい評価制度をつくっても、評価する側が適切に運用しなければ意味がありません。

目標を設定しても、その後の進捗を確認せず、必要な支援もしなければ、目標は形だけのものになってしまいます。

社員に権限を委譲しても、社長が細かなことまで口を出していれば、社員は自分で判断しなくなります。

仕組みを動かすのは人です。 そして、その中心となるのは社長であり、経営幹部なのです。

社員を変える前に、考えてほしいこと

会社をよくしたい。社員にもっと成長してほしい。

そう願うのは、経営者として当然のことだと思います。

しかし、社員に変化を求める前に、一度考えていただきたいことがあります。

社員は、会社が目指している方向を理解しているでしょうか。

自分に何が期待され、どこまで判断してよいのかを理解しているでしょうか。

社員が自分で考え、行動できる仕組みは整っているでしょうか。

そして、その仕組みは、きちんと運用されているでしょうか。

もちろん、社員自身の意識や能力に問題がある場合もあります。

しかし、社員が変わらない原因を社員だけに求めていては、会社の中にある問題を見落としてしまいます。

「なぜ、うちの社員は変わらないのか」ではなく、「社員が変わるために、会社の何を変える必要があるのか」。

問いかけを変えることで、今まで見えていなかった課題が見えてくることがあります。

会社が変わらないのは、本当に社員のせいなのでしょうか。