人材は会社の資産

「企業は人、人は資産」と言われます。
優秀な人材の獲得は経営の重要課題です。
特に中小企業においては、優秀な人材の獲得は企業の命運を左右します。

「もちろんわかってます。優秀な人材も採れないし、人材を教育するのも大変です」とおっしゃる社長も多くいます。確かに優秀な人材を採用するのは簡単ではありません。

でも、大丈夫です。
人は教育で伸びる可能性を秘めていますから。

大きく伸びた理由

これは教壇に立っていた当時のことです。
入学当時、分数の計算すら怪しい学生がいました。
しかし、2年後には、1部上場企業に営業職として、入社できたのです。

そこまで伸びた一番の理由は、彼が自信をつけたからです。

彼が分数がわからなかったのは、彼の能力が劣っていたからではありません。
小学校のときの授業のスピードに、少しだけついていけなかっただけです。

ところが、一旦わからなくなってしまうと、勉強を全くしなくなりました。

彼と話をしていると、分数を教える前にやるべきことがわかりました。
机の前に座ることさえ苦痛だったので、毎日15分机の前に座ることがスタートでした。

その課題ができると喜んで報告に来ます、「先生、できたよ」と。
その時には必ず「そうか。できたか、やればできるじゃないか」と褒めて、次の課題を与えます。

一般的にはそんなことは、できて当たり前だと思うでしょう。
彼にとって、机の前に15分、30分座っていられることは大きな進歩なのです。

小さな成功体験

いままで出来なかったことが出来るようになった。

人が何といおうと、彼にとってはこれこそが、「小さな成功体験」なのです。

小さな成功体験をすると、少し自信がつき、他のことにも少しだけ意欲的になります。

小さな成功体験を重ねた後には、彼は「やればできる」と実感できたのです。
これがスタートラインになり、彼は今までの遅れを取り戻すかのような勢いで成長をしていきました。

大切なことは、個人の能力や資質をよく見極めることです。
個々人のレベルに合わせた目標を設定し、「小さな成功体験」をさせる。
そして、「小さな成功」を評価することです。

売上を伸ばした店長

これは学校だからできたわけではありません。
仕事でも能力を伸ばすのは同じことです。

ある店長は売上が伸びずに悩んでいました。
そんな店長に、課長は指示を出ししたのです。

まずは、既存のお客様にコンタクトを取ることを求めました。
店長は、お客様に自筆のハガキを書き始めました。
ハガキには、特典や割引券がついているわけではありません。

それでも、お客様がハガキを持って店に来てくださるようになったのです。
これを期に、売上も昇り調子になっていきました。

課長からは「よくやったな」と褒められました。

売上予算の達成率が3%、5%と上がっていくと、自信がついてきます。
やる気も出てきました。

売上が伸びて行くと、仕事は楽しくなってきます。
ハガキを書く以外にも、お客様にどうしたら喜んでもらえるだろうかと考えるようになったのです。

そして、予算を達成した時には「よっしゃ」と思わずガッツポーズが出るほどの達成感を味わいました。

売上を伸ばしたのは店長です。
しかし、そのきっかけは「小さな成功体験」でした。

小さな成功体験が人財をつくる

小さな成功体験を繰り返すことで、能力は伸びていきます。

大きな成功を手に入れるためには、「小さな成功体験」を積み重ねていくことで達成できます。
「小さな成功体験」を正当に評価して行くことで、自信とやる気が出てきます。

そして、人材が人財に変化していくのです。

組織を活性化させ、組織を良い方向に変えてくには、社員一人ひとりの小さな成功体験の積み重ねこそが大切です。