「社員がなかなか育たないんです」と
ある社長がご相談の中でおっしゃっていました。
この社長だけではなく、多くの中小企業の社長は同じようなことでお悩みです。

「では、どのように教育をされていますか?」と伺うと
「定期的に研修や勉強会をやっています」
「先輩社員が仕事を教えています」とお答えになります。

ただ、このような場合、教育システムが会社にないことが殆どです。
厳しい言い方ですが、教育システムがなければ、人材が育って行かないのは至極当然のことで、社員個々人の能力に依存をしているだけなのです。

社員の能力を伸ばしていくためには、会社ではどんな仕事をしているのか、仕事内容の棚卸しをします。

まずは、仕事の中でも、定型業務であるルーティンワークと、判断を必要とする仕事に分類をします。

定型業務は、誰がやっても同じレベルになるように、方法論を明確にします。
要するに、マニュアル化できる業務です。

営業ならばルート営業、工場であればラインの工程、総務人事であれば給与計算など、それぞれの部署には定型業務があります。

定型業務は教育というよりも、マニュアル通りに出来るようにするために訓練することです。

そして、その業務が出来るようになれば、いつでもどこからでも教えられるレベルに達するまでレベルを上げていきます。

定型業務は、単純作業になることもあって慣れが生じてしまうと惰性になってしまいがちです。

それを防止するためには、その業務の意義や目的を言語化して社員に定型業務の必要性・重要性を理解してもらうことも大切になってきます。

社員の教育は定型業務を確実に行う事から始めます。

第1ステップ=教えてもらいながら定型業務が出来るようになること。

第2ステップ=定型業務が一人で出来るようになること。

第3ステップ=定型業務を教えられるようになること。

第3ステップまでは、定型業務を身につけ、仕事の基本を覚えることです。

第4ステップからは、定型業務を改善もしくは進化させるステップに進みます。
ここからが、本当の意味での教育になってきます。

定型業務は同じことを続けていると、陳腐化していきます。
陳腐化を防止するために、定型業務をより進化・改善して、業務効率を上げていくことが求められます。

そのためには、現状の問題点を見つけて、改善するために、考えることが求められます。

人材を伸ばすには、現在の能力よりもやや上の課題を見つけ出して、解決できる能力が必要です。

それを社員個人のやる気に頼るのではなく、会社が社員のレベルに応じて課題を与えるまたは考えさせる仕組みを作っていくことが教育システムなのです。

課題を社員が自ら考えて設定し、他の社員と協力をしながら、解決していくことで能力が伸びていきます。

第4ステップが終わると、第5ステップに進みます。
第5ステップは、判断業務など新たな業務や事業を作り出す高度な業務を行うための段階です。

新規開拓営業をルーティンワーク化するための仕組みづくりをすることや、2つの定型業務を1つに合体させて効率化を図るなど、高度な能力が求められます。

第5ステップは、全社員に必要な能力ではありません。
社員の能力に応じてチャレンジさせるステップを見極めることも必要になってきます。

そして第6ステップが、第1~第5までのステップについて教えることが出来、リーダーとしての覚悟があり、企業理念やビジョンを社長と同じように語れる人材です。

ステップ式教育法は

第1~第3までが定型業務を習得するための訓練です。

第4ステップになる前には、全体ではなく個別の教育は必要で、考える業務が増えていき、幹部への登竜門となります。

第5ステップは、判断業務やクリエイティブな業務を担当する幹部の役割です。

第6ステップは、第5ステップまでの業務に加えて、社員に伝える、教育する役割も担うトップマネジメント層になります。

会社によって、様々な形態業務がありますが、会社にあったステップ式教育法を作ることが出来れば、人材は確実に育っていき、業績も伸びていきます。