「若手が育たないんです」

最近、経営者の方からよく聞く言葉です。

仕事は指示通りにやっている。
大きな問題を起こすわけでもない。
でも、期待したほど伸びてこない。

社長自身も、
「何が悪いのか、正直よく分からない」
そんな表情をされることがあります。

若手は「伸びたくない」のではない

若手社員と個別に話してみると、

「先輩を見ても、自分の将来が想像できない」
「どうなれば評価されるのか、よく分からない」
「頑張っても、あまり変わらない気がする」
「責任だけ重くされるのは嫌だ」

意外とこんな声を聞きます。

若手にやる気がないわけではありません。
ただ、目指す姿が見えないのです。

ロールモデルが見えない会社

若手は、言葉よりも「人」を見ています。

・この人みたいになりたい
・この人の働き方なら続けられそう
・この人の立場は、魅力がある

そう思える人が近くにいるでしょうか。

ところが、多くの会社で若手が見ているのは、

・忙しそうで余裕のない先輩
・責任だけ重そうな役職者
・報われているように見えない上司 これでは、「頑張ろう」と思いにくいのも無理はありません。

昇進のための「能力基準」がない

もう一つ、大きな理由があります。

何ができるようになれば、次に進めるのかが分からない。

・どんなところが評価されるのか
・どこまでやれば、いいのか
・昇進の判断は、何を見ているのか

これが言葉になっていない会社は、実は少なくありません。

結果として若手は、
「上司の感覚」
「依怙贔屓」
「タイミング」
「空気」
で評価されているように感じます。

それでは、努力の方向が定まりません。

成長しても、給与に反映されない

さらに追い打ちをかけるのが、給与とのつながりが見えないことです。

・スキルが上がっても
・仕事の幅が広がっても
・責任が増えても

給与がほとんど変わらない。

すると若手は、こう考え始めます。

「頑張る意味って、何だろう」
「今のままでいいか」

これは、甘えでも怠慢でもありません。

これは、合理的な判断とも言えます。

若手は「構造」を見抜いている

若手が伸びない会社では、共通してこんな構造があります。

・目指す人が見えない
・成長の基準が分からない
・成長しても報われない

この3つが重なると、人は自然と守りに入ります。

言われたことはやる。
でも、それ以上は踏み出さない。

若手が伸びないのは、能力や意欲の問題ではなく、
伸びようがない設計になっているだけです。

若手が伸び始めた会社で起きたこと

別の会社で、やったことは次の3つです。

・「この人のようになってほしい」という社員像を言語化した
・経験別、役職別の能力基準・評価基準を、明確にして社員に示した
・評価が給与にどう反映されるかを、社員に示した

しかし、これだけで若手がすぐに変わるわけではありません。
これまでの経験から、会社を簡単には信じられなかったのです。

若手が動き出したのは、上の3つを半期を通じて忠実に行ったことです。

・若手社員と個別に面接をしました。
・基準に従って評価を社員に伝えました
・賞与の金額も評価に従って決定しました

これで、少しずつ若手が変わっていきました。

「自分で考えて、上司に相談するようになりました」
「小さな課題を見つけて、改善することができるようになった」

基準を明確にして、やるべき事がはっきりしました。

そして「この会社にいてもいい。この会社で頑張ろう」

最後に

若手が伸びないと感じたとき、本人の姿勢に目が向きがちです。

でも、一度立ち止まって、こう問い直してみてください。

・若手が目指せる人は、見えているか
・成長の基準は、言葉になっているか
・その成長は、報われる設計になっているか

若手が伸びない理由は、若手の中ではなく、会社の設計の中にあります。

その設計が変わったとき、若手の動きも、自然と変わっていきます。