瞬間湯沸かし器型怒りを発してしまうと、自分にも、他人にも害を与えることになります。

空港や駅、銀行でも、「なぜ遅れているんだ」と担当者に怒りにまかせて文句を言っている「瞬間湯沸かし器型怒り」を発している人を見掛けます。傍から見ていても格好悪さしか感じません。

客観的に考えれば、窓口の人に怒ったところで、何も解決しないことはわかりそうなものです.
しかし、いったん怒りの炎が燃え上がってしまうと、正常な精神状態ではなくなってしまいます。

怒りを発すれば、人間関係は壊れてしまいます。自分自身の信用もあっという間に失墜してしまいます。

このコラムでは、怒りを沈める方法について述べていきます。

怒りのパワーは、大切なものを壊してしまう

怒りの力は大きく、衝動的に罵詈雑言を浴びせたり、時には物に八つ当たりして、多くの人に迷惑をかけていることにも気付きません。

仕事でこんなことがおきていたら、同僚や取引先からの信頼もなくなりますし、誰からも相手にされなくなってしまいます。

エリートと言われる方が、怒りにまかせた言動をしてしまったために新聞やニュースでも報道されて、仕事を失ったケースもありました。

このように怒りとは人生を狂わせてしまうほど恐ろしいものです。

怒りによる衝動的な言動をしてしまうと、必ずと言っていいほど後悔をします。

でも、瞬間湯沸かし器に燃え上がる怒りを抑えることは簡単ではありません。

怒りが引き起こす3大害悪

自分自身を傷つけてしまう

怒った後は、気分がめちゃくちゃ悪くなります。イライラします。
そのムシャクシャした気持ちや後悔がいつまでたっても消えないのです。
これは大きなストレスになります。

ストレスをため込むと、精神的にも肉体的にもよくありません。
ストレスは、自分自身の心身の健康をむしばんでしまい、寿命も縮めてしまうのです。

他人を傷つけてしまう

怒りで発した言葉は、パワハラになってしまうことも多く、他人を傷つけてしまいます。

いまの若い子たちは叱られた経験が少ないため、叱られただけで会社を辞めると言い出します。

極端なケースになると親まで出てきてPTSDになったと訴訟を起こされることもありました。

人間関係を悪化させてしまう

誰でもなるべく怒る人には関わりたくありません。遠ざけようとします。怒る人とはいい関係になろうとは思いません。

一人怒っている人がいるだけで場の雰囲気は悪くなってしまいます。

そんな人とは決していい関係にしようとは思いません。その人のためにがんばろうなんて、とんでもありません。

怒りは、人間関係は悪くしてしまいます。

怒りは多くの害悪をもたらしますから、怒りをコントロールしようと一生懸命に努力をします

アンガーマネジメントでは、怒りのピークは6秒だから、6秒をやり過ごせば、衝動的な言動はしないと言われています。

これも有効な手段の1つです。でも、考えてみてください。瞬間的にわき起こってくる怒りの感情を6秒間我慢できますか?

これは簡単ではないはずです。

怒りが爆発するのを6秒我慢するよりも、瞬間湯沸かし器に火をつける「怒りスイッチ」を発見すれば、瞬間湯沸かし器は作動しません。

怒りにスイッチが入るタイミング

では、どんな時に「怒りスイッチ」は入るのでしょうか?

「会議の時間にいつも遅れる」「締め切りを守らない」といったルールを守らないときに「怒りスイッチ」が入ることもあります。

「部下は上司の指示に従うべきものだ」「仕事は完璧にやり遂げなければならない」などもスイッチを押してしまいます。

前者のように、自分が持っている価値観や信念を否定されるような言動があったときに、怒りがわき上がってきます。

また、後者のように、自分が考えている「こうあるべきだ」といった思い込みに反したときにも同じように怒りが出てきます。

さらに、自分が考えている期待値と結果の差が大きければ「怒りスイッチ」が入ってしまうのです。

怒りをコントロールする3つの方法

怒っている自分を客観的にみる

「6秒をやり過ごして、冷静になる」ようにするためには、自分が怒っている姿を客観的に観察することです。これだけでも怒りの炎は沈められます。

では、どのように自分を客観視すれば良いのでしょうか?

怒りが出た瞬間に、鳥が上から地上を見るように、自分自身の怒っている姿を上空から眺めます。

イメージとしては、「いま、彼(自分自身のこと)は怒っているな」、と客観視します。

怒りは主観ですが、自分の怒りから距離を置くことで客観視することができます。すると、冷静に自分のことを観察できるようになります。

自分と他人は、考え方や価値観が違うことを知る

誰一人として同じ人間はいません。育ってきた環境や時代、教育が違っていれば、価値観は違っていて当たり前です。

「営業は男の仕事だ」と思い込んでいる上司が、女性社員に「営業はしなくていい」と指示した場合、やる気のある女性社員は「女だからといって差別をするな」と怒りを発してしまうこともあります。

他人と自分は同じ価値観だと思うから「怒りのスイッチ」が入るのです。

自分の価値観と他人の価値観は違うということを、意識しておくと怒りのスイッチは押さなくても済みます。

怒りスイッチを押す自分の価値観を知る

怒りの瞬間湯沸かし器が作動するときには、共通した出来事が起こっているはずです。

どんな時に怒りが沸々とわき上がってくるのかを書き留めていくと原因がわかってきます。

自分の怒りスイッチの原因をしるためには、「怒りノート」を作ります。

書く内容は

1.怒った日時・場所

2.怒ったキッカケ

3.怒りの矛先

4.怒りの強度(10段階)

5.怒りの内容

6.怒りの原因

「怒りノート」をつけておけば、どんなことで怒りの感情が出るのか、その共通点がわかってきます。

怒りの原因がわかれば「怒りスイッチ」を押さなくてすみます。

まとめ

実は、怒りの原因がわかっただけでも、客観的に自分を理解できるので怒りの感情は減っていくのです。

怒りの原因を見つければ、無意味な怒りの感情から解放することができるのです。

その原因とは、生まれてから現在まで、自身の価値観や信念を作り上げてきた過程の中にあります。

ご自身の価値観や信念を観てみませんか?

それだけで、イライラすることが減り、落ち着いた生活が出来るようになります。

そして、人間関係も良くなり、人間的にも大きな人だと評価されるようになります。

コミュニケーションが変われば怒りと上手に付き合えます。