経営理念は、会社の活動の方向性を決めるものであり、社長や社員が仕事をする中での意思決定や行動をするときの判断基準となる会社の憲法のようなものです。
また、会社にはいろんな価値観をもった社員がいます。価値観の異なった多くの人のベクトルを合わせて、同じ方向へと導くためにも経営理念は絶対に必要になってきます。
ただ、どんなに素晴らしい経営理念があっても社員が経営理念を理解し、共感しなければ絵に描いた餅になってしまいます。
経営理念を社員に定着、共感させていくには、何度も繰り返し伝えることは必要です。 しかし、経営理念を単なる言葉として話しても、なかなか社員は共感をしません。
社長の人生理念と経営理念
経営理念を社員に話すときには、経営理念を作った社長の想いや背景をストーリーで語ると、共感や理解が深まります。社長が本音で話すからこそ、その想いは聞く者に伝わります。
社員の心を動かすのは、社長の心の奥底にある想いが表現された理念です。
会社を経営していれば、いいときもあれば悪いときもあります。
どんなときにも社長自身が、ワクワクでき、希望をもって行動に駆り立てる軸が必要です。
その軸となるのが、経営理念のベースとなる社長自身の人生理念なのです。
人生理念は、社長自身が生きていく上での根源的なものであり、基本的な判断基準です。
どこへ向かおうとしているのかをコントロールでき、生きていく上で迷いがなくなります。
そして、経営理念と人生理念がリンクすれば、社員に自信をもって経営理念を語ることができ、社員も理解、共感できるようになります。
人生理念は、人生で大切にしていることや価値観を探り出し、成し遂げたいビジョンをイメージして言語化していきます。
人生理念を言語化する
人生理念を考え、言語化するためには3つのことについて自分自身と対話をします。
1.自分自身のこれまでの人生を振り返ってみる。
幼少期から現在までたどって来た道のりを考えます。
・幼少期はどんな子どもでしたか?
・何になりたかったですか?
・親からはどんな影響を受けましたか?
・学生時代、社会人、経営者、それぞれで一所懸命取り組んだこと、
充実していたことはなんですか?
またその理由は何だったでしょうか?その時の感情はどうでしたか?
・これまでの人生で強く印象を受けたことは何でしたか?
そこから何を感じて、何を学ぶことができましたか?
・最も影響を受けた人物、尊敬できる人物は誰ですか?
なぜそのように思ったのですか?
2.自分自身の未来を想像する。
今後について一切制限を掛けずに自由な発想で考えます。
・自分自身のこと、会社のことなどで、こんなことが出来たらいいな、
こんなふうになったらいいなと思うこと、
ぜひとも実現したいことは何でしょうか?
・手にいれたい未来(自分自身と会社)はどのようなものですか?
・手に入れたい未来が現実になったときには、どんな気持ちになりますか?
・あなたにとって幸せ(自分自身と会社)とはなんでしょうか?
3.自分自身の人生の目的、ミッション・ビジョンを見つける。
・1・2で書き出した文章の中から、「価値ある人生」を送るためのキーワードを探します。
・キーワードの中から重要なものをピックアップし、
自分の人生理念になりうるような文章をいくつか考えて書きます。
・書いた文章を検討し、自分の人生理念を探り出します。
この3つを、じっくりと楽しみながら考えて書いていただきます。
頭で考えるだけでなく、書き出すことで客観的に捉えることができ、より明確になります。
ある会社の社長のお子さんはアトピーで苦労をしました。他の子供が遊んでいるときに、かゆくて一緒に遊べなかったり、体中をかきむしっていることもあって、かわいそうに思っていました、
そんな子どもをみていて社長は、健康に暮らすこと、健康が一番の財産だと考えていました。
社長の人生理念は「家族が健康で幸せに暮らすこと。社会が健康であることに貢献したい」になりました。
そして、会社の経営理念は社長の人生理念を反映させて「食で健康でおいしい幸せを創造する」になったのです。
コンサルティングでは社長に、A4・20ページの人生理念を考えるためのシートをお渡ししています。
シートをベースにして、これまでの生い立ちや充実していたこと、印象に残っていることや、公私ともにこれから達成したいことなどを徹底的に考え、社長の人生の目的を明確にしてもらっています。
また、社長の人生理念を明確にすることで、自分の中にある可能性や実現したいことに改めて気づきます。そして、今まで気づかなかったことがはっきりとすることがあります。
まとめ
社長自身の人生理念を書き出してみると、本当にやりたいことや目指したいことがはっきりとしてきます。そして、社長のなかにある目的、ミッションを明文化することで、大きな軸ができます。
ぜひご自身の人生理念を、リラックスした心で、集中して楽しく取り組んで下さい。
社長の人生理念は、会社経営の憲法である経営理念のベースなのです。