「いい人材が採用できないんです」とある中小企業の社長から相談がありました。

「もし、社長が優秀な人材だとしたら、業界最大手の会社と社長の会社のどちらを選びますか?」と聞いてみると
「う~ん、やっぱり大手を選ぶでしょうね」としばらく考え込んだ後におっしゃいました。

いい人材が採用できなければ、これから採用する人材、今いる人材を育ていくしか方法はありません。 人材を育てていくためには、必要な資質があります。

大手企業と中小企業の差

研修で使う会場のトイレの手拭き紙の量が大手勤務の方々と中小企業に勤める人たちでは使用料が倍ほど違うとホテルの方から聞いたことがあります。

大手の人達は1枚を使ってきれいに拭き取るので使用量は少ない。
一方、中小の人たちは2~3枚紙を取って拭くので使用料が多い上に、ゴミ箱に入らずに散らかっていることも多いのだそうです。

一事が万事、研修会場だけで無駄遣いをしているだけでなく、平気でムダをしている可能性があります。
これは、教育というよりもしつけの問題です。

これは、教育というか会社のしつけの問題です。
小さなことかもしれませんが、その積み重ねが会社の組織風土なのです。

組織風土改革としつけ

大企業だからといって、全員にしつけが行き届いているわけではありません。

ある上場企業では、トイレのスリッパが揃えられていないことが多かったのです。
これを問題視した執行役員と人事課長が旗振り役となって、トイレのスリッパを揃えるキャンペーンを始めました。

脱いだら脱ぎっぱなしにするのではなく、次の人が履きやすいように揃えることを徹底したのです。

様々な試行錯誤をした結果、半年後に、スリッパはほぼ完璧に揃えられるようになりました。

トイレを使ったお客様からは「よく教育されていますね」と高い評価をいただいています。

このキャンペーンは、単にスリッパを揃えることだけでなく、社員のモラルアップ、組織風土改革の一環としてかんがえていたのです。

たかがスリッパと言われるかもしれませんが、このおかげで他のマナーも非常よくなりました。

自分だけではなく、他の人のことを考えるようになり、仕事にも活かされるようになったことは確かです。

教育の原点

しつけやマナーというと小学生ではないと叱られるかもしれません。
しかし、学校や家庭ではモラルいついて教わっていない人たちもいます。

教育の原点は、しつけです。人間性を高めていくためにも、しつけは欠かせません。

中小企業に応募してくる人たちは、トイレの手拭き紙でわかるように、モラルを知らない、もしくはモラルが高くない人たちが多いのも事実です。

そのため、会社の社員教育の第一歩は、社内のモラルを表した倫理規定を教えて、守らせることです。

ある会社では倫理規定として、別の会社ではハウスルールとして、全社員そしてアルバイト・パートにも教育をしています。

新しく採用する人に対しては、最終面接で合格を出す前に、会社の方針や理念、倫理規定を伝えます。
それに同意をしたら内定を出します。そして、条項を書面にし、署名・捺印をして採用です。

どんなに優秀だと思われる人でも、方針や理念に共感せず、書面に署名をしない人は決して採用をしません。

人手不足だから、どうしても人員が足りないからと、採用してみたところで、社内を引っかき回して、短期間で辞めてしまうのが落ちですから。

それよりも会社の方向性や倫理観に同意し、共感してくれる人材の方がはるかに教育のしがいもありますし、能力も伸びていきます。

中小企業の人材を伸ばす方法は、こちらから