「社員と個別で面接をしているのですが、どうも上手くいっていないと思うのです」と取引先の役員から相談がありました。
どうしてそう思ったのかを聞いてみると、「部下の発言が引き出せていないのです」とのお答えです。
役員からの相談
直接ミーティングに参加しているわけではありませんが、上手くいっていない原因には一定のパターンがあります。
「もしかしたら、部下が言ったことに対して、役員ご自身の考えを部下にぶつけていませんか?」と伺うと、しばらく考えた上で「そうかもしれませんね」とうなずかれました。
部下の立場からすれば、上司と違った意見を言うのは、とても難しいことです。
立場上からも上司は、部下に意見をしたくなります。
多くの上司がそうですし、いままでそうしてきたのだと思います。
では、部下の気持ちはどうでしょう?
現在の業務のこと、これからしたい仕事、組織などへの希望などなど、上司に聞いてもらいたかったことがたくさんあるはずです。
そんなチャンスである個別面接の場が、上司の演説会になってしまうこともあります。
面接で話す割合は、上司が3割、部下が7割くらいが理想です。
現実には、割合が逆になってしまうことが多いのではないでしょうか?
これでは部下には欲求不満が残ります。
自分のことを理解してくれていない、尊重されていないと思っても仕方がありません。
社員一人ひとりが尊重され、信頼関係を作るには、話しを聞いてくれる、否定されない「傾聴」を経営幹部が率先してをすることが必要です。
傾聴のポイントは
1.話を最後まで、聞く
2.相手の目を見て、聞く
3.発言してくれたことに感謝する
4.発言の内容を要約する
5.どんなに気に入らない発言でも、表情に表さない
言葉で書けば簡単なことですが、これがなかなかできません。
経営幹部の方々の話を、部下は最後まで聞いています。
ところが、経営幹部の方々は、部下の話を途中で遮ってしまうことも、部下の意見を否定してしまうこともあります。
話を途中で遮られたり、自分の意見を否定されたりすることの不快感は、体験をしないとわかりません。
傾聴されることの心地よさ、傾聴されないことの不快さは、「傾聴ワーク」をするとよくわかります。
私どもが考える「傾聴」には1つ大きな違いがあります
それは、話を聞くだけではなくて、聞き手(上司)の価値観を出さないことです。
自分の意見と違ったことを聞くと、どうしても「それはわかるけれども、私はこう考える!」と言ったりします。
これでは、話を聞いているようで、話し手の意見を否定していることと同じです。
言葉に出さないまでも、自分の意見と違うことを聞くと表情が曇ったり、眉間にしわが寄ったりすることもあります。聞き手が気づいていなくても表情や仕草だけで、相手に本音が伝わります。
これも、自分の価値観を相手に押しつけていることになります。
相手の話を聞くときには、聞き手の価値観を抑えておかなければなりません。
話を聞いてもらえれば、相手は自分のことを気にかけてもらってと感じます。
自分のことを気にかけてもらっていれば、自分も相手のことを信頼します。
信頼感が出来た上で意見を伝えれば、相手に真意が伝わりコミュニケーションが取れた状態になります。
コップの水が一杯な時に水を注いでも漏れてしまうだけですが、コップが空になっていれば水は充分に注げます。
相手の話を聞かずに自分の意見だけを言うのがコップの水が一杯の状態。
相手の話を充分に聞いてから、自分の意見を言うのが空のコップに水を注いでいる状態です。
自分の意見を聞いてもえらると、自己肯定感がアップして、仕事に対する意識も、モチベーションも上がります。
ただ、ちゃんと傾聴を行うためには、トレーニングも必要です。
そのための傾聴ワークショップも行っております。
お問い合わせは、こちらから。