「新しい仕組みを作ってもなかなか機能しないんです」とある社長からご相談がありました。
「新しい業務を割り当てても続かない」など、類似したご相談も多く、コンサルの現場ではこれらの問題を解決してきました。
問題があるときには、必ず原因があります。
仕組みを作っても機能しないのは、殆どが人の問題です。
これを解決しない限りは、仕組みは上手く機能をしません。
多くのケースでは、大きく分けて4つの原因があります。
①業務量過多
「何か支障があるの?」と担当者に聞いてみると
「すでに業務量がいっぱいな上に、新しい仕事を割り当てられてもできっこないですよ」と答えてくれました。
仕事の出来る人に任せたくなるのは理解できますが、特定の人に業務が集中してしまうと、どんなに優秀な人でもキャパオーバーになって他の業務にも影響をしてしまいます。
まずは、担当者の業務の棚卸しをして、他の人に任せてもいい仕事、優先順位の低い仕事を精査して、取り去ってやらなければなりません。
そして、新しく業務を増やすときには、必ず「やるべき業務」と「やってはいけない業務」を明確に指示することが必要です。
②目的が不明確
新たな業務の指示を出すときには、業務の内容だけを指示するだけでは不完全です。
重要であればあるほど、その業務をやる目的、仕組みを作りあげていく目的を説明することが必要になってきます。
企業理念やビジョンに基づき、この業務や仕組みを実現することで、会社も社員もどんな姿になっているのか、達成したときのことが絵(ビジュアル)として見えることが大切です。
③承認がない
担当者が業務を遂行しても、上司や経営幹部がそのことに対して承認をしなければ、やらなくなってしまうのは明らかです。
報告をしているにパソコンをたたきながら聞いている上司がいれば、「この報告は重要でないことなんだ」と担当者は思ってしまいます。
さらに悪いパターンは会議で新たな業務を部下に指示したにも関わらず、次回の会議ではそのことについて殆ど議題にのぼりません。
余程新しい仕組み作りに思いの強い人でなければ、承認がなければモチベーションは続かないのです。
出来たこと、支障になっていることに社長や上司が向かい合うとことで、新しい仕組みは動き出します。
④諦め感
新しい仕組みや業務にたいしてネガティブな感情を持っていれば、上手くはいきません。
「また社長が新しい事をはじめたけれど、今回も続かないから。きっと」と影でこんなことを言っている社員がいては、いい成果を得ることは難しくなります。
これには問題が2つあります。1つは個人の思考の問題で、2つめは社風・企業文化の問題です。
社員個人として、「過去の経験から新しくはじめることは成功しない」という無意識的にネガティブな思考をしてしまうことです。
本人の個人的経験から、新しい事が上手くいかないことが多いとこのような思考になりますし、親の言動からの影響も考えられます。
社風・企業文化は、長い歴史の中で培われてきた会社の考え方であり、行動パターンです。
新しいことをはじめても途中で止めてしまうことが多かったり、成功しないことが続いてしまうと、社風としては保守的になり、挑戦をしづらい文化になってしまいます。
社風は、社長をはじめとした社員の価値観の集合体でもある訳ですから、社長・経営幹部・社員の思考を変え、揃えることで、よい方向に変化をしていきます。
そのためには、研修やミーティングなどを通して現在の自分自身の価値観を知ることがとても重要です。
多くの場合、原因が1つだけでなく、①~④が複合的に絡み合っているケースが殆どです。
それでも、変えていくことは可能です。
社風・企業文化を変えるのは時間がかかるとお考えの社長も多いと思います。
しかし、「自律型組織」を導入すれば、「最近うちの会社変わったよね」と案外短時間で変わっていきます。