「有望な若手を外部の研修に派遣したんです。帰ってきて1週間は良かったんですがね、それ以降はまた元に戻ってしまいました」と社長はガッカリしていました。
このようなことはよく耳にしますが、貴重な時間とコストをかけたのですから、こんなことでは研修に出した意味がありません。
なぜ、そうなったのか?
研修の効果が長続きしない3つの理由
1つめは、研修後に会社・職場での理解・協力体制がないこと。
優秀な若手を研修に出しても、上司や職場全体でのフォローやサポートがなければ効果はでません。
上司が研修の内容を理解おらず、職場がそのことに興味を持っていなくては、部下がいくらがんばっても成果は期待できないのです。
ある会社では社員をコミュニケーション研修に参加させました。
研修を受けてしばらくは、研修で学んだコミュニケーションスキルを使っていました。
ところが、職場の他の社員が「なにそれ?」と思ったり、「新しいことを覚えると得意になって使うよね」と冷たい目でみるようであれば、研修を受けた社員が浮いてしまうのです。
すると、せっかく学んだコミュニケーションスキルは簡単に元に戻ってしまいます。
職場のコミュニケーションを良くするためには、職場単位または上司を含めて職場で影響力のある社員を研修に参加させて、職場全体で取り組めるようにする必要があります。
さらに効果的なのは、トップ自らがコミュニケーションの旗を振ることです。
それは、コミュニケーションこそが社長の意志決定を全社員に伝えるための非常に大切な要素だからです。
2つめは、研修では使えても、職場では使えないスキルを学んでいること。
外部の研修では、その研修なりの型があります。いわゆるパッケージが出来上がっています。そのため、研修では使えるけれども、実務では使いにくかったり、使えないこともあるのです。
先ほどのコミュニケーション研修の例でいえば、単にコミュニケーションスキルを学ぶだけでなく、仕事で使える技術がなければ研修としての効果はでません。
それを解消するには、予め現状を把握した上で、研修で何を身につけるのか、その目的に基づいて研修プロクラムを組んでいく必要があります。
そのため、研修のみに優れているのではなく、ビジネスでの実績を積んできた講師が事前の打ち合わせを入念に行ってから、研修を設計・実施し、その後のエビデンスを確認することが大切になってきます。
3つめは、スキルのみを学んでも、本質を理解していないことです。
研修でスキルを学ぶことは大切なことですが、上辺のスキルだけを学んでも付け焼き刃ではメッキはすぐにはがれてしまいます。
スキルを使いこなしていくためには、スキルの根底にある本質を理解して、行動を変えていく必要があります。
コミュニケーション研修で考えれば、スキルだけ学んでも自分の思い込みや価値観を相手に押しつけてしまっては、コミュニケーションは成立しません。
自分の思い込みをなくして、相手の考え方や価値観を知ることで、はじめてコミュニケーションが成立します。
そこまでのレベルに達することができれば、社内のコミュニケーションは大いに飛躍をします。
そもそも研修の目的とは
1.参加者の能力アップ
2.行動を変化させ実務に活かす
3.自分で考え、行動できる人材の育成
この3つです。
その結果として、個人と会社の業績アップができるようになることだと考えています。
そのために研修では
1.職場全体での取組みがあること
2.研修の目的が明確であり、業務に直結していること
3.スキルに頼らず、本質を理解すること
の3つが大切なのです。
コミュニケーションは、幸せでイキイキ働ける土台ですから。