「どうも社内に一体感がないんですよ」と社長は不満げにお話をされました。

この仕事をしているとこんなお話に対しては様々な事例が思い浮かんできます。
その中から、業績が伸びている会社と今一つ伸び悩んでいる会社の事例をお話しました。

業績伸びている会社と伸び悩んでいる会社の違いとは?

業績が伸び悩んでいた会社は、社長の方針に納得していない社員がいて、その社員が他の社員を引き込んで反発をしていたのです。

方針といっても客観的にみれば、売上と利益を上げる方法論の違いだけでした。
しかし、それがいつしか感情論にまで及んでいて、社内は険悪な雰囲気になっていました。

会社の目的が、売上・利益のみだったから起きたことのです。

業績が伸びている会社は、「顧客への貢献」という同じ目的に向かって全員が働いていました。
同じ目的をもってベクトルを合わせているから、多少の障害があっても努力ができ、チームとして成果があがるのです。

民間企業ですから、売上・利益は絶対に必要です。
ただ、この社長は会社の目的である経営理念やビジョンを達成すれば自ずと売上・利益はついてくると考えていました。

このように申し上げると「それはきれいごとでしょう?!」と言われることもあります。

しかし、売上・利益を目的に経営をしている会社よりも、経営理念やビジョンを目的に経営している会社の方が売上・利益も伸びています。社員の皆さんもイキイキと働いているのも事実です。

ベクトルを合わせるために必要な経営理念

社員がバラバラの方向を向いていたら、会社の力は半減してしまいます。
影響力の強い社員が社長の方針に異を唱えたら、会社自体が回らなくなってしまう可能性すらあります。

社員全員がベクトルをあわせて、同じ方向に向かって努力をすれば、そこにスター社員はいりません。
小さな力であっても、その力が集まれば、会社として大きな力が発揮できます。

会社のベクトルを合わせていくためには、社員を方向づける対象が必要です。
それが、経営理念であり、会社のビジョンとなります。

価値観の異なった多くの人のベクトルを合わせてためには経営理念は絶対に必要なのです。

経営理念は、社長の人生理念

経営理念やビジョンは、社長の個人としての生き方やビジョンから導かれるべきです。
他社から借りてきた理念や言葉の上辺だけをなぞっただけでは、社長自身に納得感がありません。

社長の本気度がなければ、社員にも伝わりません。

経営理念やビジョンがお題目になってしまう原因は、社長の本気度が低いことに起因することが少なからずあります。

社長の人生や心の奥底にある商売に対する想いを反映させている経営理念だからこそ、社長自身も肚にすとんと落ちますし、経営理念に忠実に経営ができます。社員に対しても経営理念をしっかりと伝えることができます。

そのためにも、社長が大切にしている価値観を表した人生理念を言語化することが必要です。
また、経営理念やビジョンが社員にとってわかりやすいことも欠かせません。

短い言葉で表現されることも多いのですが、経営理念やビジョンを実現するために何ができるのか、社員一人ひとりが自分事としてブレークダウンすると、非常にわかりやすく、身近なものになっていきます。

そうすれば、自分の仕事が会社に貢献していることも実感できるようになるのです。

経営理念やビジョン作りのお手伝いをしていると、社長の意外な価値観がわかり、社長が成し遂げたいことも明確になります。

すると社長は非常に晴れやかな表情になり「よし、この経営理念でいこう!」とひしひしと決意の程が伝わってくるのです。

御社は、経営理念・ビジョン実現に向けて、社員が1つになっていますか?