中小企業のビジネスモデルが低価格戦略では大手には勝てません。
中小企業のビジネスモデルこそ、高価格・高付加価値が最適です。

高価格・高付加価値だから、社員への給料のベースアップも可能になります。
このコラムでは、中小企業が高価格・高付加価値を採用する方法について紹介をしています。

低価格のビジネスモデルの限界

回転寿司の両雄であるスシローとくら寿司が2022年10月に、円安による輸入魚介類の価格上昇を理由に値上げをしました。

その結果、11月の売上前年比はくら寿司が96%、スシローにいたっては宣伝した商品が不足するなどの度重なる不祥事で75%と大きく前年を下回ってしまったのです。

回転寿司のビジネスモデルは、低価格で寿司を提供することでした。
低価格を売りにしていたために、10円値上げしたことでお客様は敏感に反応をしました。

ところが、同じ寿司店でも2割以上値上げをしたにもかかわらず、売上を伸ばした店があります。

値上げをしたため客数は減少しましたが、売上・粗利益額ともに増加をしていました。

高単価、高粗利率ビジネスモデルへの移行

大手企業は、低価格ビジネスモデルで低粗利でもスケールメリットを活かして収益は確保できます。

しかし、中小企業で低価格のビジネスモデルを採用した場合は、大企業との価格競争にさらされ、元来少ない収益が、さらに減少してしまいます。

値上げをしたのにも関わらず売上・粗利を伸ばした寿司店は、自店の強みを伸ばし、自店の存在意義を定義したことで高単価・高粗利益ビジネスを成功させたのです。

強みと存在意義は。国産・天然・生のネタを使い、販売促進と顧客とのコミュニケーションを様々な方法で取っていることです。

そのため、「この味なら、値上げをしてもしかたないよね」と顧客が納得をしてくれていたのです。

このように、中小企業は、自店の強みを見つけ、存在意義を提起した上で、高価格、高粗利ビジネスモデルを採用すべきです。

ある精密機械製造会社は、大手メーカーの下請けがメインでした。
そのため利益率が低いのが課題でした。

しかし、この会社の加工技術は高く評価されており、自社の強みを活かして新しい市場である医療機器に参入をしました。

その結果、年商は5倍以上になり、現在では海外とも取引を開始しています。

高単価、高粗利率のビジネスモデルをつくるポイント

高価格、高単価のビジネスモデルを作るには3つのポイントがあります。

1.自社の製品・商品・サービスの強みを知る

自社の製品・商品・サービスの強みを理解している会社様が殆どだと思います。
しかし、視野が狭くなっている場合も多いのです。

先ほどの精密機械製造会社では、元請会社に自社製品についてインタビューをしました。

その結果、「かなり細かい部品でも精度が高く、誤差が少なく、医療分野でも使えるほどの信頼性がある」と言われたことをキッカケに医療分野に参入をしたのです。

取引先にインタビューをすることで、いままで気付かなかったことをしることができます。

2.自社の製品・商品・サービスの伝え方を考える

自社の強みを知ることができたら、それを見込み客にどのように伝えるによって売上は大きく変わります。

見込み客が困っていること、喉から手が出るほど欲しくなるように考えます。

自社の製品・商品・サービスを利用したら、どうなるのかを具体的にわかりやすく表現していきます。

HPやチラシなどの販促ツールはもちろんのこと、店舗では販売方法によっても価値の伝え方が変えられます。

あるリユースショップでは、中古の商品でも新品同様に処理をして、店頭でも新品と同様の陳列・販売をするようになってから、商品価値も上がり、売上・利益ともに伸びて行きました。

3.自社の製品・商品・サービスを求める新市場を探し出す

自社の製品・商品・サービスの販売先は、現在の取引先や市場だけでしょうか?

見方を変えると、違った市場の方がより、自社の製品・商品・サービスを欲している場合もあります。

ヤスリメーカーが野菜用のヤスリを開発していたが上手くいかず、そのヤスリを猫のブラシとして使ってみると猫の舌の感覚にそっくりで、大ヒットした商品もありました。

高価格でもよい製品・商品・サービスならば、欲しいユーザーはいます。

御社も、自店の強みを伸ばし、自社の存在意義を定義した上で、高単価、高粗利率のビジネスモデルを考えてみてはいかがでしょうか?